日航とANA、羽田発着国際線増枠で火花 「格差ある」「趣旨理解し経営してきた」

 

 「ドル箱」とされる羽田空港の国際線発着枠の増枠をめぐり、日本航空とANAホールディングスが激しく火花を散らしている。政府の判断によっては、巨額の公的支援で超優良企業へ再生した日航の業績がさらに拡大し、一段と劣勢に追い込まれかねないとANAが懸念するためだ。

 「財務体質や利益率で格差があると認識している」。ANAの片野坂真哉社長は15日の記者会見で不満をにじませた。ANAが2015年度までの5年間に積み上げた連結最終利益は2073億円と、日航の約4分の1。財務の健全性を示す株主資本比率も日航より20ポイント近く劣る。一方、16年3月末の有利子負債残高は日航の7.6倍だ。経営破綻に伴う日航への税制優遇は18年度まで続く予定で、さらに差が開きかねない。

 日航を牽制(けんせい)する発言の念頭には、20年に大幅に増加するとされる羽田の国際線発着枠の配分の行方がある。1枠当たりの利益は年間10億円以上に上るといわれ、業績を大きく左右する。過去2回の配分はANAが優遇され、日航は約半分の7枠にとどまった。

 日航は現在、競争環境を適正化するために国土交通省が12年に公表した「8.10ペーパー」と呼ばれる文書に基づき、新規投資や路線開設が原則自由にできない。17年3月末で効力が切れるが、国交省はこれまでの発着枠配分によって「不適切に(競争環境が)ゆがめられている恐れは一歩一歩払拭されている」(石井啓一国土交通相)としてさらなる措置の導入に慎重な立場を崩していない。同ペーパーのとりまとめを主導した自民党議員も静観の構えだ。こうした空気を察して日航は10月、さっそく羽田-ニューヨーク線を来年4月に就航させる方針を決めた。

 ANAは20年の発着枠増加に関し「格差是正」を掲げて従来のような傾斜配分を引き続き求めていく方針だが、日航は「もう4年以上、(同ペーパーの)趣旨を理解し経営してきた」(植木義晴社長)として反対している。日航は高収益の要因に関しても、人件費の削減など自助努力の部分が大きいと主張しており、国交省は今後、難しい判断を迫られそうだ。