バスタ新宿に待望のコンビニ、ファミマがオープン 業者決定迷走の理由は「トイレ掃除」!?

 
「バスタ新宿」にオープンしたファミリマート=18日午前、東京都渋谷区(黄金崎元撮影)

 国内最大級のバスターミナル「バスタ新宿」(東京都渋谷区)に待望のコンビニ、ファミリーマートが18日、ようやくオープンにこぎ着けた。バスタ新宿は4月に開業したが売店はなく、利用者の不満が爆発。いったんは中堅コンビニのポプラの出店が決まったものの、条件が折り合わずに辞退して混乱を招いた。業者決定が迷走した原因は、「トイレ掃除の分担にあった」というのだが-。

 18日午前7時、バスタ新宿の4階にある待合室の一角で、シャッターがゆっくりと上がり、ファミマの看板がお目見えした。そして、オープンを待ちわびた利用者がどんどん中に入っていった。

 オープンした店舗は、利用者の不満に早く応えるために設置した暫定店舗。正面入り口から遠く、目立たない場所にある。売り場面積は約25平方メートルで、中に10人以上が入れば店外にあふれるほど小さい。通常の店舗に比べれば日用品の取り扱いも少ない。ファミマは来年夏までに売り場面積の大きい本店舗を暫定店舗の向かい側に設置する予定だという。

 ただ、暫定店舗でも、店内はお客さんが絶えることなく、盛況だった。

 店内にはお茶やコーヒーのペットボトルや缶をはじめ、パンやサンドイッチ、おにぎりなどの軽食が整然と並べられ、利用者はバスの車中で食べる朝食を次々と購入した。

 利用した大阪府守口市の女子学生(18)は「車内で飲むお茶がここで買えてよかった」と話した。バスタ新宿は、富士山がある山梨や静岡に向かう訪日外国人の利用も多い。シンガポールから来た客は「とても素晴らしく、朝食でコーヒーとサンドイッチ、すしを買った」と話した。

 ようやく売店がない状態が解消したバスタ新宿。だが、ファミマの開店までは曲折があった。

 利用者の不満が大きかったため、国土交通省の東京国道事務所は売店の出店を希望する企業の公募に乗り出し、8月1日に落札者として、ポプラを決定した。

 バスタ新宿はJR新宿駅に直結し、ピーク時には高速路線バスの発着が1日1600便を超え、4万人近くが利用する。コンビニの立地としては「申し分のない場所」(大手コンビニ幹部)だ。ポプラも当初は、落札を受け9月上旬のオープンを目指して準備を進めていた。

 ところが、9月1日にポプラは一転して辞退届を提出。その理由について、ポプラの広報担当者は「物件としては辞退したくはなかった。だが、国交省から賃料以外の『条件』があり、その詳細を詰めるにはオープンまでに時間が足りなかった」と説明する。

 ポプラが出店をためらった国交省の「条件」とは、いったい何だったのか。

 関係者らへの取材によれば、国交省からの条件には賃料以外にも「公共貢献」という項目があったという。この条件にはバスタ新宿4階のトイレ掃除が含まれる“可能性”があった。さらにバスタ新宿はトイレを増設する計画があり、いったんトイレ掃除を請け負えば、コンビニの運営コストが膨らむ可能性があったというのだ。

 ただ、実際には条件に、トイレ掃除は含まれていなかった。

 10月7日の国交省東京国道事務所が発表したファミマに出店事業者が決定したことを知らせるプレスリリース文には、「なお、トイレ清掃は、購買施設の入札手続きの対象となっておりません。開業以来、4階トイレは新宿高速バスターミナル会社、3階トイレは観光情報センターが清掃を行っております」との文言がわざわざ付け加えられた。同事務所の担当者も、あくまで「トイレ清掃が辞退の理由になったわけではない」と説明する。

 ただ、国交省がトイレ掃除が当初から出店の条件ではないことを、ポプラ側に明確に説明していたかは疑問だ。結局は、国交省とポプラの間でトイレ掃除をめぐって認識の相違があったことが、事業者決定が迷走した真相のようだ。

 だが、事業者の決定が遅れたことでバスタ新宿に売店がない状況が長引き、その分、利用者に不便を強いることになった

 ポプラ辞退を受けた2回目の入札では、6事業者の中から、ファミマが選ばれた。同事務所によれば、ファミマに決定した理由は「(提示した)賃料の金額のほか、(共有スペースである)道路を清掃するといった点を評価した」という。

 ファミマは9月にサークルKサンクスと経営統合したばかりで、店舗数はローソンを抜いて2位に浮上。首位のセブン-イレブン・ジャパンを追い上げるためにも、バスタ新宿のような集客力のある立地の店舗は、のどから手が出るほど欲しい物件だった。

 ともあれ、バスタ新宿にようやく長旅を癒やすコンビニが誕生したことに、関係者は安堵している。(大柳聡庸、黄金崎元)