アサヒは４千億円投資も　ビール各社、海外事業の拡大急ぐ

　国内市場の縮小が見込まれる中、ビール各社は海外事業の拡大を急いでいる。アサヒグループホールディングス（ＨＤ）は２４日、１０月に買収した欧州ビール事業の戦略説明会を東京都内で開催した。小路明善社長は「海外事業が成長エンジン」と述べ、海外売上高比率を「現在の１３％から早期に２～３割に引き上げたい」との考えを示した。

　アサヒは英ＳＡＢミラーからイタリアでシェア１位の「ペローニ」やオランダ２位の「グロールシュ」など４事業を２９４５億円で買収した。４事業の２０１６年３月期の売上高は８６３億円に上っており、小路社長は４事業の買収で「売上高２兆円が視野に入ってきた」と述べた。

　また、小路社長は「Ｍ＆Ａ（企業の合併・買収）で４千億円の投資は可能だ」と、さらなる海外事業の拡大に意欲をみせた。具体的な案件の言及は避けたが、アンハイザー・ブッシュ・インベブ（ベルギー）が入札を実施している東欧５カ国のビール事業や、ベトナム国営ビール会社の買収も検討しているとみられる。

　一方、ベトナム国営ビール会社の買収には、キリンＨＤやサッポロＨＤも関心を示している。買収額は２千億円規模とみられるが、サッポロビールの尾賀真城社長は「当社はベトナムに工場があり、非常に関心がある」と入札に前向きだ。