住友化学 アジアで「メチオニン」拡販 伊藤忠と飼料分野で提携

 
事業説明会で伊藤忠商事との提携を明らかにした住友化学の十倉雅和社長=29日、東京都千代田区の経団連会館

 住友化学は29日、伊藤忠商事と飼料分野で提携することを明らかにした。同日の事業説明会で十倉雅和社長が明らかにした。詳細は近く発表するが、住化の飼料添加物「メチオニン」を伊藤忠が大量購入するほか、原料調達などを手掛ける共同出資会社の設立を検討している。世界的な人口増加や新興国の経済成長で食糧問題が深刻化し、鶏肉の需要が増えている中、それぞれの強みを生かしながら事業拡大を図る。

 住化は2018年半ばをめどに、愛媛工場(愛媛県新居浜市)におけるメチオニンの生産能力を、現状の年15万トンから25万トンに増やす計画。提携により、伊藤忠は増強分である10万トンの一部を大量購入し、代金を前払いする。また、共同出資会社を設立し、原料調達などを共同で手掛ける。

 一方、伊藤忠はタイ最大級の財閥、チャロン・ポカパン(CP)グループ傘下で、飼料などを販売するCPフーズに出資している。住化から購入したメチオニンは、同社などに販売するとみられる。

 提携で、住化は増強した工場の稼働率を短期間で高められるほか、前払いにより早期の投資回収が可能になるという。

 十倉社長は事業説明会で、「伊藤忠は最強のパートナー。(メチオニンの)アジアにおけるリーダーの地位を確固たるものにしたい」と述べた。

 メチオニンは、動物の体内で合成できない必須アミノ酸の一種で、化学的に造る。主に鶏の餌に混ぜて成長を促し、鶏肉や鶏卵の生産性を高める目的で使う。

 住化によると、メチオニンは世界で年約110万トンの需要があり、年率6%程度増えているという。同社はこの分野で世界4位のシェアを持つ。