(下)高級車競争に出遅れたアキュラ、SUV強化で復活なるか

ホンダ 米国戦略の岐路
報道陣を前に話すホンダ米国法人のアキュラ担当副社長のジョン・イケダ氏=16日、米カリフォルニア州

 11月16日、米ロサンゼルスで開かれた自動車展示会「ロサンゼルス自動車ショー」。ホンダの海外向け高級車ブランド「アキュラ」の発表会で、米国法人の副社長、ジョン・イケダは報道陣にこう宣言した。

 「アキュラは30周年を迎えた。若々しい精神と野心に再び火をつけ、力強く挑戦的なブランドに刷新する」

 ホンダは1986年に米国の販売網強化や高級車「レジェンド」の投入を契機にアキュラを創設。いずれも89年に立ち上がった高級車ブランドであるトヨタ自動車の「レクサス」や、日産自動車の「インフィニティ」の先駆けになった。

 レジェンドに加え、高級スポーツ車「NSX」や小型車「インテグラ」を展開し、2005年の米国販売は20万9610台と過去最高を記録。高級車の主戦場である米国市場で大きな存在感を発揮した。

 調査会社マークラインズによると、15年の米国販売は前年比5.6%増の17万7165台と伸びた。だが、ライバルのレクサス(34万4601台)には2倍の差を付けられ、背後にはインフィニティも迫る。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹は「(開発費用など)経営資源の不足が原因だ。1990年代に曲がり角を迎えたホンダブランドの再生を優先し、2000年代の高級車競争に出遅れた」と指摘する。

 アキュラのラインアップは今年復活したNSXを加えても6車種。レクサスの11車種に比べ、販売店に人を呼び込む新車の投入がない期間は長くならざるを得ない。

 ホンダ社長の八郷隆弘は「アキュラは米国や中国でスポーツ用多目的車(SUV)のラインアップを充実し、競争力を高める」と話す。6月に販売を始めたSUV「MDX」の2017年モデルは最新の安全運転支援システムを標準装備し、デザインも刷新。10月のアキュラ全体の販売は落ち込んだが、SUVは新型MDXが大幅に伸びて同月として過去最高になった。

 イケダは「高級車は(性能より)感情的な部分で判断がされる。愛されるブランドにしたい」と述べ、失われつつある輝きを取り戻すため前を向いた。(敬称略)

 (この連載は会田聡が担当しました)