外食事業者の出退店支援で業界活性化 G-FACTORY・片平雅之社長
2020年に向け訪日客を現状の約2倍に当たる4000万人に増やす政府目標もあり、外食産業の市場規模はここ数年拡大傾向にある。一方で飲食店の開業、廃業が活発になっている。外食事業者の出退店支援サービスを手掛けるG-FACTORYの片平雅之社長は「店舗展開をサポートし、業界を活性化させる」と外食産業を後押しする構えだ。
--もともと飲食店チェーンを運営するために会社を立ち上げた
「うなぎ専門ファストフード店『名代 宇奈とと』の経営権を買い取るために起業した。多店舗展開をしようとしたが、小規模の事業であったため信用されず物件探しに苦労した。それでも根気強く出店を続けてノウハウを確立し、07年に飲食店の出退店支援事業を始めた。今では営業利益の8割を稼ぎ出す事業の柱となっている」
--出退店支援事業は、具体的に何を行うのか
「店舗物件を借り受けて、事業者と転貸契約を結ぶ。内装設備もリースする。顧客の中心は10店舗前後を運営し、経営が軌道に乗りつつある中規模チェーンだ。出店は多くの労力や費用が発生するため負担が大きい。当社のサービスを活用することで、負担が軽減され事業に集中できる。物件オーナーにとっては回収リスクやトラブルが回避できるため、当社との契約ニーズが高まっている」
--飲食事業の現状は
「『名代 宇奈とと』は東京で10店、大阪で4店がそれぞれ出店し、500円でうな丼を提供している。ファストフードとしては平均客単価が高く、営業利益率は広告宣伝費をかけないことによって高水準を維持できている。出退店支援に注力しているため新規出店は控えている。一方、繁忙期のズレを利用して、同店舗の外国人アルバイトを顧客店舗に派遣し、人手不足を解消する新規事業を計画している」
--海外出店も支援している
「昨年5月にシンガポールに現地法人を設立し、日本の飲食事業者のアジアでの出退店支援を始めた。健康志向の高まりからヘルシーな日本食がブームとなり、国内飲食事業者の海外進出意欲が高くなっている。しかし商習慣の違いなどで日本以上に苦労することが多い。シンガポールのほか、ベトナム、カンボジアなど東南アジアを中心に支援している」
--今後の事業展開は
「9月に東証マザーズに上場した。得られた資金で店舗用設備などを自社で購入してリースする、ストック型ビジネスへの転換を図る。それまでは設備をリース会社に販売することで売却益を得る、フロー型ビジネスだった。宇奈ととに関しては全国各地のほか、海外からも出店要請がきている。新規出店の予定はないが、将来はフランチャイズチェーン(FC)も含めて展開するかもしれない。16年12月期は売上高経常利益率を約15%と見込んでいるが、早期に20%に伸ばしたい」
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【プロフィル】片平雅之
かたひら・まさゆき 1993年神戸製鋼所入社。フューチャークリエイト(現・店舗流通ネット)などを経て、2003年G-FACTORYを設立し、現職。41歳。大阪府出身。
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【会社概要】G-FACTORY
▽本社=東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル34階
▽設立=2003年5月
▽資本金=3億7244万円
▽従業員=35人(2016年11月末時点)
▽売上高=26億6700万円(16年12月期見込み)
▽事業内容=出退店支援、うなぎ専門店「名代 宇奈とと」の運営
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