マッサージチェア新商品で若い顧客層開拓 フジ医療器・中西広幸社長

 

 マッサージチェアメーカーのフジ医療器は、貴金属・産廃リサイクル事業などを展開するアサヒホールディングス(HD)の傘下にあり、ヘルスケア事業の中核を担う。高齢化の進展に伴い健康志向が高まっている点を踏まえ、グループ企業間のシナジー効果を生かした成長を重点課題として掲げる。中西広幸社長は「新商品の開発に積極的に取り込むことで、新しい顧客の開拓に力を入れる」と話す。

 --業績はどういった形で推移しているのか

 「高齢化の進展とIT機器の普及で、健康関連機器市場は成長基調にある。2017年3月の売上高は前期比で横ばいだが、営業利益は10%以上伸びると見込んでいる。及第点かもしれないが、本来のマッサージチェアが持つ伸びしろを十分に引き出せていないのも事実。新商品の投入でファン層を拡大し市場を育てていく」

 --社長自身は、ヘルスケアとは異なる分野の仕事に長年にわたって携わってきた

 「アサヒHD傘下のアサヒプリテックで、写真感光剤に使われる銀リサイクル原材料の買い取りを担当していた。営業先は写真プリントやレントゲン写真を扱うカメラ店、現像所、歯科医、病院、印刷所など。個人事業所の多い業界だったので、BtoC(企業対消費者取引)事業のフジ医療器と似通ったビジネスに関わってきたと思う」

 --アサヒHDとのシナジーをどう実現させるか

 「互いの販路の活用はすでに着手している。アサヒHDのグループ企業の顧客は、歯科医院など医療機関が全体の7割を占めている。病院の患者向けに補聴器などを紹介してもらっている。一方、フジ医療器の持つ地域家電店、農協、生協の販売網では、アサヒHD傘下企業のポータブル暖房機器を販売している。今後相乗効果を生み出していくことを期待する」

 --新商品の開発の方向性は

 「中高年の愛用者に向けたマッサージチェアの高機能化を進めていく一方、若い顧客層に向けた商品開発に注力する。注目しているのが、高さの低いテーブルやソファなど、限られたアパートやマンションの空間を有効活用できるロースタイルデザインの家具。新しいライフスタイルとして取り入れられているからだ。このため従来と比べ高さが低くコンパクトなサイズで、インテリアとしても親しめる新シリーズを発売した。これまで開拓できなかった30~40代の顧客を取り込みたい。こうした層が当社商品のファンになってくれれば、10~20年後に高機能商品を購入するようになってくれるだろう」

 --海外展開の取り組みは

 「すでに進出しているが、中国、台湾、韓国をはじめとしたアジアと、米国での販売体制を強化する。その一環として独自の販路づくりと現地での協力代理店の獲得を進めている。最新の取り組みとして台湾でフィットネス機器大手と提携した。大規模なキャンペーンを開催し、新規顧客の開拓に成功しつつある。海外でも当社のブランド認知度はすでに高く固定ファンもいる。その上で新しい客層を掘り起こしていく」

                   ◇

【プロフィル】中西広幸

 なかにし・ひろゆき 阪南大商卒。1986年アサヒプリテック入社。執行役員などを経て、2014年7月フジ医療器上席副社長、16年6月から現職。54歳。大阪府出身。

                   ◇

【会社概要】フジ医療器

 ▽本社=大阪市中央区農人橋1-1-22

 ▽創業=1954年

 ▽資本金=3億円

 ▽従業員=335人 (2016年3月末時点)

 ▽事業内容=健康・美容機器の製造販売