自動運転、IT大手と連携加速 デンソー、NECの「AI」技術導入合意

 

 自動車部品大手のデンソーが、自動運転技術でIT大手との提携を加速している。自動運転の実用化に不可欠な人工知能(AI)などの技術を他企業との連携で早期に確立し、海外の部品大手に対抗する考えだ。

 デンソーは26日、NECとAIを活用した自動運転技術の開発で提携すると発表した。デンソーの車載カメラで撮影した画像をNECのAIで分析。AIが危険だと判断すると、人や障害物を回避する技術を開発する。クルマをインターネットに結んで各種サービスを提供する「コネクテッドカー(つながる車)」の普及を見越して、サイバー攻撃対策でも協力する。

 NECから人材も受け入れる。デンソーが得意とするカメラやセンサーの技術と、NECの持つAI自らが理解を深める「ディープラーニング(深層学習)」の知見を融合して、双方の技術力向上につなげる。

 デンソーが今回、NECと提携するのは、車両周囲の状況をAIで判断する技術を自前で開発するには限界があるとみているためだ。開発に足りない技術は積極的な提携を通じて補う戦略で、東芝とはすでに画像認識用AI開発で提携。センサー開発ではソニーの技術を車載用に改良して取り入れ、英国の半導体開発大手とは車載用プログラムでの共同研究に乗り出した。

 自動運転分野ではドイツのZFや同コンチネンタルなど海外の自動車部品大手もIT企業などとの提携や買収を加速している。部品の約7割を外注に頼る自動車メーカーにとって、部品会社の協力抜きに自動運転車を開発するのは困難な状況にあり、早期の技術確立が顧客の囲い込みにつながるとみているためだ。デンソーも提携戦略を駆使しながらいち早く技術の実用化にこぎつけることで、激化する競争の勝ち残りを目指す。

 ■デンソーの自動運転をめぐる最近の動き

 ・NECと人工知能(AI)を活用した自動運転技術の開発

 ・東芝と画像認識用のAIを共同開発

 ・自動運転に必要なミリ波レーダーなどに強みを持つ富士通テンを子会社化へ

 ・英半導体開発会社と車載用プログラム分野で共同開発