資生堂「花椿」を全面刷新 若い女性取り込みにウェブ版も強化
資生堂が企業文化誌「花椿」を全面刷新し、月刊誌から季刊誌に替えて来年4月10日に新“装刊”第1号を発行する。先行してウェブ版を強化、ビジュアルと読み物の両立、つまり「見て美しく、読んでおもしろい」編集方針で若い女性を取り込む。花椿の樋口昌樹編集長がスタッフと意見を交わしながら第1号の内容を詰めている。
「花椿をドラスティックに改革し、季節ごとに一つのテーマを掘り下げて届ける季刊誌と、日々新しい情報を届けるウェブ版の2つで1つのメディアとなる」。樋口氏は全面刷新される花椿についてこう説明し、若い世代に対し積極的に情報発信していく考えを示した。
資生堂は2020年までの中長期戦略「VISION2020」で、若い世代へのアプローチを重視。その一環として15年12月号で月刊としての花椿の発行を終えた。その理由を、企業文化部の斉藤幸博部長は「グラビア誌になってしまい、ビジュアルも情報もとんがり路線で、一部の高感度な人しか受け入れられなくなっていた」と説明。若い女性も遠ざかっていった。
そこで今年6月にウェブ版を先行して刷新。20~30代女性を取り込むため、さらりと読めるコラムやコミックなどを充実させた。またネットならではの表現として画面に触って参加するインタラクティブな仕掛けも用意。情報も月20回をめどに更新している。
SNS(交流サイト)などでウェブ版の刷新を知らせていたこともあって「若い女性が見るようになった。コンテンツを変えたことが奏功した」と樋口氏は満足げ。11月までの半年間で閲覧数は3倍に増えたという。
この若い層が紙媒体に流れることを期待しており、11月に配布したパイロット版「0号」で手応えをつかんだようだ。0号で掘り下げたテーマは「タッチ」で、普段あまり意識していない触覚に着目した3本の特集のほか、4本の連載と2本のウェブ連動記事を掲載した。
読者へのアンケートでは「大人っぽい」「おしゃれ」との評価を得た。「親しみやすい」「楽しい」との声は少なかったが、おもしろいコンテンツとして「特集」2本と「サロン・ド・バー花椿」という読み物系がトップ3に入り、編集方針は受け入れられたとみている。
新たな花椿は2万部を発行、資生堂ギャラリーなど同社関連施設のほか、蔦屋書店などで取り扱う予定だ。
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