神戸製鋼所会長兼社長・川崎博也さん(62)

2017 成長への展望
神戸製鋼所会長兼社長川崎博也さん

 ■生産集約終了 浮上きっかけつかむ

 --昨年の鉄鋼業界は厳しい環境が続いた

 「2017年3月期の業績予想を2度下方修正したことが(苦境を)物語っている。粗鋼生産量は戻りつつあり、自動車生産は熊本地震(による影響)から回復し、住宅向けも増えている。五輪需要も見込まれる。一方で、中国の過剰生産による市況低迷が続き、夏からは原料炭の価格高騰という強烈な現象が加わった。コストが増える分、製品価格に転嫁しないと苦しい」

 --生産再編を急いでいる。

 「18年3月までに神戸製鉄所の高炉を休止し、上工程を同じ兵庫県の加古川製鉄所に集約する。加古川では新設備を導入し、競争力の向上にも取り組んでいる。計画は遅れなく進んで、設備は完成に近づいている。これで上工程の競争力は高まるので、あとはコストダウンや下工程の最適な生産に取り組んでいく」

 --鉄鋼事業で他社と提携する可能性は

 「今は考えていない。事業を分割して他社といっしょにしても、規模が小さいので吸収されてしまう。鉄とアルミを接合し、燃費規制の強化で軽量化ニーズが高まる自動車向けに納めるなど、(自社内で)事業同士のシナジーを追求していく。鉄とアルミの組み合わせは昨年秋ぐらいから具体的な提案をしており、自動車メーカーの反応も良くなっている。昨年4月に始動した中期計画では、鉄やアルミを含む素材で1000億円規模の戦略投資を盛り込んでいるが、今年のどこかのタイミングで投資判断することになりそうだ」

 --建設機械などの機械事業も苦しい

 「これまで足を引っ張ってきた中国の油圧ショベル販売はここ4、5カ月、前年比でプラスになっていて、底打ちした感じだ。ただ、過去に中国が4兆元(約67.8兆円)の景気対策を実行した反動で需要が激減した経緯があるので、期待しすぎてもいけない」

 --昨年7月には、栃木県真岡市にあるアルミ板工場の隣接地でガス火力発電所の建設に着手した

 「19年以降、10年以上の供給契約を結んでいる。(素材や機械は)損益の山と谷が大きいが、電力事業の収益は安定していて、両方が苦しいときにカバーできる。供給開始が今年からだったらもっと良かったが」

 --今年の抱負は

 「鉄鋼は上工程の集約が終わり、ほとんどの新設備が立ち上がる。機械では建機以外に、プラント向け大型ターボ圧縮機などの新製品が立ち上がる。これらの本格的な収益貢献は20年以降かもしれないが、今年は浮上のきっかけをつかむ非常に重要な年になる」

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【プロフィル】川崎博也

 かわさき・ひろや 京大大学院工学研究科修了。1980年神戸製鋼所入社、2007年執行役員、12年専務、13年4月社長。16年4月から会長を兼務。和歌山県出身。