「あの手この手」で消費喚起 百貨店各社の福袋、ユニークな「コト」商品に知恵絞る

 
東武百貨店池袋本店が発売するレトルトカレーを高く積み上げた分だけ獲得できる体験型福袋

 日本経済は「トランプ相場」による株高や、円安に伴う企業業績の改善期待など、明るい材料も出始めた。ただ、先行き不安などから節約志向も根強く、個人消費の盛り上がりは欠けたまま。そうした中、今年は単に「モノ」を売るだけでなく、思い出や体験など「コト」を商品として提供する企業が増えそうだ。消費を喚起しようと、企業は「あの手この手」で工夫を凝らす。(大柳聡庸、黄金崎元、滝川麻衣子)

 百貨店各社が初売りする福袋も世相を反映し、今年は「モノ」から体験、思い出、人間関係、サービスなど「コト」を商品として売る傾向が強まっている。各社とも知恵を絞ったユニークな福袋を用意した。

 今年で開店55周年を迎える東武百貨店池袋店ではカップル限定の「めざせ55段!!レトルトカレーをAh!盛~れ!(アモーレ)福袋」を発売する。食品専門店「北野エース」のレトルトカレーを高く積み上げた分だけ獲得できる体験型福袋だ。

 店内の約350種類のレトルトカレーの中から2人1組で好きなものを選び、崩れないように慎重にカレーの箱を積み重ねて手を離して10秒間維持できれば、全てお持ち帰りできる。カップルがゲーム感覚で楽しめる夢袋だ。

 高島屋はリオデジャネイロ五輪のバドミントン女子ダブルスで金メダルを獲得した「タカマツペア」が所属する日本ユニシスの現役選手と練習できる福袋を用意した。ダンサーのSAMさんがプロデュースするシニア向けダンスチームを結成する夢袋も発売する。高島屋宣伝部の藤田郁夫販売促進担当部長は「ワクワク楽しめるコト消費の人気で関連商品を前回の3倍に増やした」と話す。

 一方、流通・小売業界は消費者の財布のひもを少しでも緩めようと体験型イベントを開き、消費を喚起しようとしている。10月31日の仮装イベント「ハロウィーン」市場はすっかり日本にも定着した。今では市場規模がバレンタイン商戦に迫るまで成長した。

 昨年11月には流通大手イオンなどが米国で感謝祭翌日に行う「ブラックフライデー」と呼ばれる激安セールを国内で行った。イオンは前年比で売り上げが2割増となり、今年はセールを開催する企業がさらに増える可能性がある。

 また、経済産業省や経団連、小売りなどの業界団体は、2月から月末の金曜日に午後3時に仕事を終える「プレミアムフライデー」という取り組みを始める。企業は従業員に早く帰るように呼び掛け、消費を盛り上げる狙いがある。ただ、月末の金曜日は忙しいとの声も多く、どれだけ企業に定着するのか注目される。

 節約志向が強まる中、流通・小売業界はあの手この手を使って個人消費を喚起しようとしているが、目が肥えた消費者を引きつける知恵やアイデアが一段と重要な時代になっている。