トランプ発言に自動車恐々 トヨタのメキシコ新工場建設計画批判
トランプ次期米大統領は5日、トヨタ自動車がメキシコで着手した新工場の建設計画について、簡易投稿サイトのツイッターで「ありえないことだ! 米国に工場を造れ。さもなくば高い関税を払え」と批判し、方針変更を迫った。米国での雇用確保を重視するトランプ氏は米自動車大手フォード・モーターにも同様の圧力をかけ、フォードはメキシコでの新工場建設計画を撤回したばかり。攻撃の矛先は外国企業であるトヨタにも向けられた。
ニューヨーク株式市場ではトランプ氏のツイート直後、トヨタの株価が約1%下落。トヨタ株は、6日の東京株式市場でも前日終値比で一時3%超下落した。トランプ氏の発言は企業に対する市場の評価にも影響を及ぼしている。
トランプ氏の投稿はトヨタの豊田章男社長が5日、東京都内でメキシコ工場の建設計画を維持すると表明したことを受けたもの。
トヨタは2015年4月、10億ドル(約1150億円)を投じてメキシコ中部にカローラ約20万台の生産能力がある新工場を建設すると発表し、16年11月には起工式を行っていた。
トヨタの米国法人はトランプ氏の批判に対し「(新工場を建設しても)米国での生産台数や雇用は減少しない。消費者や自動車産業のためにトランプ政権と協力するのを楽しみにしている」とする声明を出した。
トランプ氏は選挙戦中から、米国、メキシコ、カナダで構成する北米自由貿易協定(NAFTA)を背景に、米国の製造業がメキシコに生産拠点を移していることが雇用流出につながっていると問題視。トランプ氏からメキシコでの新工場建設計画を強く批判されたフォードは今月3日、新工場建設を撤回した。
また、トランプ氏は自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)がメキシコで主力車種を生産していることも攻撃。今後、トランプ氏と自動車業界の摩擦が強まる可能性もありそうだ。(ワシントン 小雲規生)
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