Creww、大企業とベンチャーの協業支援 マッチング実績200件超す

 
Crewwが東京メトロと共同で実施した支援プログラムで受賞した3人のベンチャー企業代表者。大企業との協業で新規事業の立ち上げを加速させる

 安倍政権が掲げる「国内総生産(GDP)600兆円」の強い経済を実現するには、イノベーションやベンチャー創出力の強化が欠かせない。組織が硬直化した大企業で新規事業を起こすのは一苦労。一方、斬新なアイデアを持ちながらも、資金や人材など経営資源が乏しいスタートしたばかりのベンチャー企業にとって、事業化までの道のりは遠い。そうした大企業とベンチャー企業の橋渡しを手がけているのが、Creww(クルー)だ。

 同社はマッチングサービス「crewwコラボ」を運営している。

 まず、参加したいベンチャー企業は専用のホームページに登録し、crewwコラボに登録されている大企業による支援プログラムに応募する。書類審査や公開プレゼンテーションなどを経て、選ばれたベンチャーが大企業の持つ経営資源を活用して、新技術や新製品、新たなサービスなどの実証試験を行い、事業化への道筋を付ける。

 サービス開始以来、ベンチャー企業から約2500件の提案が寄せられ、このうち大企業とベンチャー企業による協業が200件以上実現している。なかにはこれがきっかけとなって、具体的な資本業務提携に進むケースもあるという。

 現在は、ゲオホールディングス、ライオン、静岡ガス、積水ハウスなどと連携して、企画が進行中だ。

 創業者の伊地知天(そらと)社長は16歳で渡米し、大学在学中の2005年から3社のベンチャー企業を順次立ち上げた豊富な経験を持っている。

 会社を立ち上げていく中で「起業家が事業を軌道に乗せるための仕組みが必要なこと」を痛感した。その思いが帰国後、12年のCreww創業へとつながっていった。

 会社を立ち上げる際には、著名な起業家や経営者、投資家にもアドバイザーとして参画してもらった。ソニーの元会長で、現在は経営コンサルティング会社、クオンタムリープの出井伸之社長ら11人の「先輩経営者」がアドバイザーとして関わっている。

 日本の起業家支援の課題について、伊地知社長はM&A(企業の合併・買収)が少ないことを指摘する。「事業売却で得た資金を使って、別のベンチャー企業を支援するという経済の新たなエコシステムができれば、日本の経済はもっと元気になるはず」と話している。

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【会社概要】Creww

 ▽本社=東京都目黒区青葉台1-18-14

 ▽設立=2012年8月

 ▽資本金=4億6455万円(資本準備金を含む)

 ▽従業員=27人

 ▽事業内容=大企業との連携によるベンチャー企業支援など