ファミリーマート社長・沢田貴司さん(59)
2017 成長への展望■IoT、AI活用でコンビニにも変化
--昨年9月に経営統合したファミリーマートとサークルKサンクスの店名を2019年2月までに統一する
「経営統合から2年半かけてファミマに統一する計画で、順調に進んでいる。時期については(看板の掛け替えなど)物理的な制約はあるものの、なるべく前倒ししたい。経営統合で店舗数は約1万8000店と、首位セブン-イレブン・ジャパンに次ぐ規模となり、物流などでメリットが大きい」
--2万店という当面の目標も視野に入ってきた
「加盟店が元気になるような施策を取り入れることで、結果として2万店に拡大したい。これまでは『セブンに追いつけ追い越せ』で出店を増やしてきたが、もっとアライアンス(提携)を駆使するなど機動的なやり方があるかもしれない。これまでは出店という“足し算”だったが、不採算店の整理という“引き算”もしつつ、全体として店舗数を増やしていく」
--日販(1店の1日当たりの売上高)では、首位セブンとの差が大きい
「商品開発を含め、全てでセブンが優れている。PDCA(計画、実行、評価、改善)をしっかり回して、追い上げたい。ただ、コンビニはもっと変われる。モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)といった技術が進歩している。こうした技術を正しく取り入れることが重要だ。将来的にはライバルがコンビニでなくなる可能性すらある。今までのコンビニのビジネスを否定するつもりはないが、現状で思考停止してはいけない」
--高齢化が進んでいる
「今後は働き手としても、高齢者がますます増える可能性があり、そのための環境を整える。これまでコンビニは扱う商品を増やし続けてきた。便利ではあるが、(店員にとっては)レジなどの操作が複雑になっており、改善していきたい。先を見据えて、レジの自動化も導入を検討中だ」
--銀行業への参入について
「セブンはグループにセブン銀行を持ち、ローソンも銀行業への参入に向け準備会社を設立したことは承知している。コンビニのATM(現金自動預払機)は、(ITを使った新たな金融サービス)『フィンテック』のようなものだ。将来的にはファミリーマートらしい金融サービスをやりたい。それは銀行かもしれないし、そうでないかもしれない。コンビニをめぐるゲームは絶えず変化しており、“ぼうっと”していたら変化に取り残され、大変なことになりかねない」
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【プロフィル】沢田貴司
さわだ・たかし 上智大理工卒。1981年伊藤忠商事入社。97年ファーストリテイリング入社。同社退社後に企業支援会社のリヴァンプなどを設立。16年ファミリーマート取締役に就任し、同年9月から現職。石川県出身。
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