三井物産社長・安永竜夫さん(56)
2017 成長への展望■本社スリム化、持続的成長モデル実現
--トランプ米次期大統領への期待は
「資産規模でも米国は最重要国の一つだ。トランプ政権の外交政策は不透明だが、強い米国を標榜(ひょうぼう)する新政権の下で、米国内の投資事業は成長機会が増える。米国やアジアで需要が伸びる鶏向け飼料添加物の増産を決めており、トラックリースも資産を積み増す」
--4月にスタートする中期経営計画の柱は
「2019年度の最終利益では、資源で2000億円、非資源で2000億円とバランス良く稼ぐ。資源開発は生産コストに徹底してこだわり、液化天然ガス(LNG)のサハリン2の拡張事業や米国石油開発など既存設備が活用できる競争力の高いものに絞る。国づくりに貢献するモザンビークのLNG事業は販売先を確定し、17年度中に投資決定する。LNGは20年以降、供給過剰が解消されるが、まずは自ら需要創出にも動く。海外では持ち分発電量で1100万キロワットの発電資産があり、発電所向けガス供給も検討する」
--非資源の重点分野は
「ヘルスケア事業はアジアの病院事業をはじめ、医薬など基盤がそろってきた。中でもアジアの糖尿病治療は市場が大きい。東芝の医療機器事業の買収にも名乗りを上げたがコストが高すぎた。昨年に参画したパナソニックヘルスケアホールディングスは糖尿病関連で強みがあり、既存のヘルスケア事業との相乗効果が高い。食料は上流が強みで、有望な生産国のロシアでは、ロシアの食料大手と提携する計画だ。日本の製糖技術など、協力できる分野をいろいろと探りたい」
--注力しているブラジル経済をどうみる
「米利上げに伴う新興国からの資金流出の懸念はあるが、政治的な動揺が続いたブラジルは昨年のテメル政権発足や資源価格の回復を背景に、景気は底打ちして高水準のインフレ率も収まりつつある。インフラ投資の日本への期待は高く、商機はある。昨年末には、参画するジラウ水力発電所のフル稼働や、世界最大の鉄鉱石鉱山、カラジャス鉱山で拡張生産が始まった」
--15年度の最終赤字からの復活の道筋は
「しっかり反転したことを示していきたい。優良な資産への入れ替えや、『デリバラビリティ』と呼ばれる、掲げた目標やゴールを本当に達成してきちんと実現できるかにこだわる。一方で、最終利益の順位づけよりも、三井物産らしい国づくりに貢献する仕事にこだわる姿勢は変えない。本社はスリム化し、世界のどこでも新しい仕事を生み出し、持続的に成長するモデルに変える」
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【プロフィル】安永竜夫
やすなが・たつお 東大工卒。1983年三井物産入社。経営企画部長、執行役員機械・輸送システム本部長などを経て、2015年4月から現職。愛媛県出身。
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