米ファンドによる日立工機のTOB決定 大株主の日立は保有全株を752億円で売却へ
日立製作所は13日、電動工具子会社の日立工機を米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に売却すると発表した。KKRは今月30日から株式公開買い付け(TOB)を実施するが、日立は保有全株を応募する予定で、売却額752億円を見込む。
KKRは日立工機の全株を取得したい意向で、買収額は最大1471億円を想定している。発行済み株式数の3分の2の取得をTOBの成立条件としている。
日立は子会社保有分も含めて、日立工機株の42・16%を保有。議決権ベースでは51.24%と過半数を保有しており、保有全株を手放す。
日立は得られる資金を社会インフラやIT(情報通信)などの中核事業への投資などに振り向ける。中核事業と相乗効果の薄い事業の整理を進めており、ほかにも半導体製造装置事業を担う日立国際電気の売却も検討している。
日立工機は東証1部上場で、平成28年3月期の売上高は1415億円、最終利益10億円。TOB成立後は上場廃止となる見込み。
KKRは昨年11月に日産自動車傘下の自動車部品大手カルソニックカンセイの買収を決めるなど日本で大型案件への投資を相次ぐ。日立工機の買収後は、自社の豊富な海外ネットワークを活用して海外展開を支援し、収益拡大を狙う。
関連記事