三菱ケミカルHD社長・越智仁さん(64)
2017 成長への展望■化学系3社統合で「変革の第一歩」に
--昨年を振り返って
「世界経済は年初に想定していた通り、良くも悪くもならなかった。中国(の景気減速)も大きなインパクトを与えなかった。予定外だったのが政治で、英国のEU(欧州連合)離脱(問題)に端を発し、さまざまなことが起きた1年だった。ドナルド・トランプ氏の米大統領当選は、その象徴的な出来事といえる。当選の背景には、格差の問題がある。日本以上に欧米の格差は大きい」
--石油化学業界には一昨年に続き追い風が吹いた
「環境は非常に良かった。原油価格が低位安定しているので、製品コストが抑えられている。中国も経済成長は鈍化傾向にあるとはいえ(景気刺激策で)インフラ投資が回復し、個人消費も底堅い。これから原油は値上がりするかもしれないが、1バレル=55ドル程度でとどまれば、業界に大きな影響は出ない」
--米国でシェールオイルが増産される見通しだ
「石油輸出国機構(OPEC)の減産合意で原油価格が上昇するのは間違いないが、問題はその上がり方だ。シェールオイルが積極的に増産されれば、原油価格もそれほど上がらず、安定していくだろう」
--昨年4月に5カ年の新中期経営計画が始まった
「すでに収益力を高めるための施策は打っている。新商品開発も進んでいるし、グループ会社の日本合成化学工業と日本化成を完全子会社化したほか、別のグループ会社で産業ガス大手の大陽日酸も米国の設備や豪州の同業を買収した。一方、4月に岡山県の水島コンビナートで旭化成と基礎原料のエチレン製造設備を統合したほか、インドと中国で合成繊維原料のテレフタル酸事業から撤退し、大きな構造改革は終わった」
--4月に化学系事業会社の三菱化学と三菱樹脂、三菱レイヨンが統合する
「統合で研究開発や販売を含め、3社の持てる力を100%発揮できるようにする。激しい環境変化に素早く対応できるようにする狙いもある。すでに統合作業はかなり進んでいる。昨年12月には想定する統合効果を従来の200億円から500億円に上積みした」
--今年のテーマは
「『変革の第一歩』だ。化学系3社の統合に伴い、56あった事業ユニットは26まで減らすので、仕事の進め方ががらりと変わる。(各ユニットには)10年後を見据えながら、危機感をもって会社を作り直すように指示している。経営陣も、さらに意思決定のスピードを上げていかないといけない」
◇
【プロフィル】越智仁
おち・ひとし 京大大学院化学工学研究科修了。1977年三菱化成工業(現三菱化学)入社。2007年執行役員経営企画室長、12年三菱レイヨン社長などを経て、15年4月から現職。愛媛県出身。
関連記事