コンビニの駅ナカ陣取り合戦 立ちはだかる「私鉄王国関西」の壁
コンビニエンスストア各社が、鉄道会社との提携による「駅ナカ」での店舗網拡大に力を入れている。安定した売り上げが見込める店舗をまとめて確保できるためで、大阪ではセブン-イレブン・ジャパンとローソンがそれぞれ“一等地”を確保した。しかし一層の拡大となると難しそうだ。関西は、鉄道各社が駅を基点に事業を発展させてきた「私鉄王国」。駅ナカは簡単には譲らない。(藤谷茂樹)
開拓進む駅ナカ
JR大阪駅に昨年12月オープンしたセブン店舗。いれ立てコーヒーを売るドリップマシンを5台備えている。担当者は「駅を通るだけの利用客も多いので、コーヒーを購入する方に素早く対応できるようにした」と話す。同駅構内で15店目のセブンとなるだけに、個性も打ち出した。
JR西日本は平成26年にセブンと提携し、管内の駅売店など約500店を順次セブンに切り替えているところだ。このうち関西では、昨年12月までに200店近くをセブンにした。
セブンが関西で展開する店舗は昨年10月に2415店となり、ローソンの2402店を上回って首位となった。JR西との提携も大きく貢献したようだ。
コンビニ店舗は飽和状態ともされ、街なかで出店場所を確保するのは年々難しくなっている。こうした中、セブンはJR西だけでなく、JR北海道、JR四国などの駅に出店。ファミリーマートは東武鉄道、京成電鉄、相模鉄道、近畿日本鉄道など全国15事業者の路線で店舗を展開する。
ローソンは昨年、東京メトロと提携。今年3月からは大阪市営地下鉄の駅で47店を展開する予定だ。駅売店を運営するファミリーマート、ポプラの契約更新時期に合わせて事業者の公募に応じ、運営権を獲得した。
同地下鉄は1日約230万人が利用する。ローソンの収益アップに大きく貢献するはずだ。
コンビニはライバル
鉄道事業者が駅売店の運営をコンビニに任せるメリットは大きい。例えば、大阪市営地下鉄は売店の運営を随意契約で外郭団体に任せていたが、24年度から公募に切り替えたところ、市側に支払われる年間使用料は5倍の約3億5千万円に増加し、売上高は27年度に約36億円と23年度の1・5倍になった。
ここで、注目されるのは「私鉄王国」を築いた関西各社の動向だ。実は大手5社のうち、コンビニと提携しているのは近鉄だけで、残り4社は自前で駅ナカ店舗を展開している。
阪急電鉄と阪神電気鉄道の阪急阪神ホールディングスは、コンビニ「アズナス」と、小型売店の「ラガールショップ」(阪急)、「アイビーショップ」(阪神)を営業。また、ラガールショップの一部をネスレ日本と共同運営による立ち飲み式のコーヒーショップ「ネスカフェスタンド」に切り替えるなど、事業強化にも余念がない。
南海電鉄と京阪電気鉄道は、共通ブランド「アンスリー」を持つ。ちなみにアンスリー設立時には阪神も参加しており、各社のローマ字表記に「AN」が含まれることがブランド名の由来だ。
現在、店舗運営は南海、京阪で別々だが、商品の共同仕入れなどを行い効率化を図っている。京阪はドラッグストアとの共同店舗を独自に手掛けるなど、事業拡大へと積極策をとる。
ある関西の私鉄関係者は「コンビニ各社は駅周辺で営業しており、むしろ駅売店のライバル」と指摘。「駅は通勤通学客など利用客に恵まれ、コンビニの需要は高い」と話し、駅ナカのビジネスチャンスを簡単に手放しそうにない。
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