東京海上ホールディングス社長・永野毅さん(64)

2017 成長への展望

 ■アジア生保事業を5年以内に黒字化

 --2015年から始まった現在の中期経営計画は後半に入っていく

 「着実な戦略の遂行に変わりはない。ただ、地球環境やテクノロジー、少子高齢化による労働人口の動態などあらゆる環境の変化が早くなっている。2030年ぐらいを展望しつつ、長期的な変化の中でこの1年なり3年を捉え、何をすべきか考えてやっていく」

 --テクノロジーの分野ではフィンテックへの対応やその取り込みが重要なテーマだ

 「成長を考えれば、自動運転や人工知能(AI)、ビッグデータの活用などで日本が世界のスタンダードを発信する国となってほしい。ややもすれば、技術に押し倒されるがごとくだが、冷静に新技術を活用して何がしたいのか、考える必要がある」

 --保険分野で重要な技術とは

 「例えば、ブロックチェーンの技術があげられる。当社でも海上保険の保険証券をデータ化する実証実験を行っている。ほかには、お客さまとのインターフェースをより快適にすることなどもある。具体的にはお客さまが悩む保険選びをよりわかりやすく伝えることなどだ。社内の業務改善による働き方改革や生産性向上にもつなげていきたい。将来予測にビッグデータを活用することで、リスクを正確に把握し、商品開発や保険料率にも反映させていきたい」

 --海外市場での成長はどう進める

 「一昨年の10月に買収が完了した米HCC・インシュアランス・ホールディングスの技術を使った新しい保険の開発や商品の相互供給による売り上げの拡大、拠点の一体化といったコスト削減効果などが進んでいる。事業を伸ばしたいのは新興国、特にアジア。損害保険事業は順調だが、まだ成長の余地はある。一方、生命保険事業はまだ苦労しているが、少なくとも5年以内には利益が上がり、持続的な成長ができるビジネスモデルに変えていきたい」

 --まだ実用化はされていない自動運転「レベル3」まで対応した無料特約も4月から販売する

 「完全自動運転の世界になるまで、いろいろな車が混在するだろうが、少なくとも人が介在している世界では究極まで保険商品を掘り下げていく。レベル3までは複雑な事故が起きても被害者を救済したいという狙いだ。一方、法的責任の固まっていない完全自動運転のレベル4は高度公共交通システムの世界になる可能性もある。サイバー攻撃のリスクなどに対応した保険の検討が別途必要になるだろう」

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【プロフィル】永野毅

 ながの・つよし 慶大商卒。1975年東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)入社。東京海上ホールディングス副社長などを経て、2013年6月から現職。高知県出身。