IH調理器市場 競争過熱 家電各社、新製品相次ぎ投入
家電メーカーがIH(電磁誘導過熱)調理家電を相次いで投入する。きめ細やかに火加減を調整でき、熱伝導率を高めるなど性能を強化。単身・少人数世帯向けに機能を簡素化した商品を加え、ラインアップも拡充させ、買い換え需要などを狙ってシェア拡大を図る。
2009年から家電事業を展開し、シャープ出身者を大量に採用した生活用品製造卸のアイリスオーヤマは2月1日に、5.5合サイズのIHジャー炊飯器(税別想定価格、1万9800円)を発売する。
精米事業で培ったノウハウを生かし、31銘柄のコメに合わせて最適な火力調整を行う炊き分け機能を搭載。蓄熱性に優れた厚さ3ミリの極厚銅釜の採用で、むらの少ない炊きあがりを実現した。
他メーカーよりも手頃な価格で高品質の製品を提供し、20年までに炊飯器市場で10%のシェア獲得を狙う。
三菱電機も、火加減の調整レベルを従来機種の3段階から5段階に増やしたIHクッキングヒーター「びっくリングIHシリーズ」の新製品3タイプ6機種(税別希望小売価格、31万5000~42万5000円)を2月1日に発売。煮込み料理の焦げ付きや煮崩れを抑えることができるようになり、料理にこだわる消費者をターゲットに商機拡大を図る。
また、簡素なライフスタイルを好む単身・少人数世帯向けには「シンプルIHシリーズ」2タイプ2機種(同16万8000~18万8000円)を4月21日に発売する。上面で大型ボタンを操作するだけで調理でき、機能も「通常加熱」「揚げ物」などに絞り込んだ。
IHクッキングヒーターの需要は11年の東日本大震災後、電力供給の逼迫(ひっぱく)の影響で低迷したが、17年度は買換え需要増で前年を上回る見込みだ。パナソニックも昨年11月、グリル皿を軽量化し、調理時間を短縮化できるビルトイン式の「Wシリーズ」9機種を発売。メーカー間の競争も過熱しそうだ。
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