遊技産業の視点 Weekly View

 □ぱちんこジャーナリスト LOGOSインテリジェンスパートナー・POKKA吉田

 カジノ法制化を政府に求めるIR推進法が昨年12月に成立してから、いわゆるギャンブル依存症対策を政府がかなり急いでいる。関係閣僚会議、内閣官房にギャンブル依存症対策室設置、厚生労働省に依存症対策推進本部設置(酒、薬物含む)、47都道府県と20の政令指定都市に相談窓口を設置し相談員を配置、通常国会にもギャンブル依存症対策法案提出、などだ。政府は早ければ臨時国会にもIR実施法を提出するという。実施法が成立すれば日本版カジノは解禁となる。

 IR推進法が成立した過程だが、昨年の臨時国会における議論があまりにも拙速だったこともあり(特に衆議院内閣委員会はひどかった)カジノ法制化に反対の層だけではなく、賛成の層からも批判が数多く出た。

 私の印象では「ギャンブル依存症文脈での議論」「賭博の罪の違法性阻却の要件」の2つが、特に議論が尽くされていないポイントとなっている。政府の今のこの動きは、前者に対するカウンターオプションのようなもの。国会審議では一応は議員立法の推進法だから、法案の趣旨などを政府が説明する責任はない、と逃げることも可能だったが、実施法は閣法だから逃げられない。このため、実施法を議論するまでにギャンブル依存症対策を整備したいということだろう。これら政府の取り組みが、実際の対策として実効性があるかどうかは今後の推移を注視するしかない。そもそも今年度の依存症対策予算が1億円と少なく、来年度は5億円超となって5倍増なのだが、それらの多くは相談窓口費用になりそうだ。というか、そもそも1億総日本人への対策としては、5億円では確実に足りないだろう。

 厚労省は「依存症に関する効果的な治療方法が見つかっていない」ということをHPで記述している。まずは、実効性を担保するためにも、すぐできる対策と並行して、効果的な治療回復プログラムの確立のための調査・研究が最重要だろう。

 ちゃんとした対策が伴われなければ意味がないのだ。

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【プロフィル】POKKA吉田

 ぽっか・よしだ 本名・岡崎徹。1971年生まれ。神戸大学経済学部中退。著書に『パチンコが本当になくなる日』(扶桑社新書)など。2016年2月より本名の岡崎徹としてぱちんこ業界紙「シークエンス」発行人編集長。