食事、サプリの栄養療法を提唱 医療法人淳信会が専門クリニック開業
≪未病治療≫
病気の症状は表れていないものの、病気に向かいつつある状態「未病」を治療しようと、医療法人淳信会(山口県周南市、登坂正子理事長)は、専門クリニック「ホリスティキュア メディカルクリニック」を開業した。米国の最新栄養学の資格を持つ医師が、食事やサプリメントなどによる栄養療法を提唱する。未病対策は、国民医療費の削減に寄与するとして自治体や企業が注目している。登坂理事長は今後、連携する医療機関を増やすことなど、未病に対する啓蒙(けいもう)活動を強化する方針だ。
クリニックでは、体内のミネラルや有害金属の蓄積、糖化など栄養バランスの崩れをチェックする機器のほか、免疫力の低下、栄養学的な血液検査など、50項目以上の検査を用意。検査結果を基に、患者の体の不調を改善できる食事やサプリメントをまとめたリポートを作成する。また、診療後数週間は患者の食事チェックを行う。自由診療で、「未病対策人間ドック」(税別15万円から)や、患者の希望に応じた個別検査・診察(初診料1万円とリポート作成料1万5000円、各種検査料)などがある。
また、未病治療の普及を目指し、クリニックの隣にグリーンハート(同市)が運営するコンセプトショップ「ホリスティキュア 栄養ケアスタンド」が開設されている。
循環器専門医の登坂理事長は、最新の栄養学と医学をつなぎ合わせた診療法「ホリスティキュア メソッド」を提唱し、栄養学の専門家と医療機関の連携により未病の診療を行っている。現在、6つの医療機関と連携し、個々の状態に合わせた検査・治療が実施できる。
登坂理事長は「未病対策を啓蒙することで、病気予防や薬の軽減などへの関心を高め、最終的に健康寿命の延伸、慢性疾患の減少、医療費の削減を目指したい」と話している。
未病への対策は、国の財政を圧迫している医療費の高騰という問題に対する解決策の一つでもある。神奈川県では、2014年1月に「未病を治すかながわ宣言」を発表。三菱地所は、自社の開発したビルに肩こりや腰痛を改善するための運動指導などを売りにしたフィットネスジムを開業している。
◇
■ショップで体内をチェック
未病対策のコンセプトショップ「ホリスティキュア 栄養ケアスタンド」では、クリニックでも使用する機器を使い、有害金属の蓄積の有無やミネラルバランスのチェックなど、計3種類の栄養学的チェックが受けられる。
手のひらの4カ所にスキャンで光を当てると、3分ほどで体内のミネラル20元素と有害金属14元素の量が測定できる。毛髪による検査と異なり、現時点の身体の状況が分かる。
計3枚のリポートには、測定結果のほか、「糖尿素因」「ホルモン状態」「代謝」など、ミネラルバランスの崩れにより今後起こりうる身体のさまざまなリスクについても表示される。
この結果を基に、栄養士が適切な食事を摂取するポイントについて説明する。栄養のバランスチェックで問題があった場合、連携するクリニックを紹介することもある。
また同店舗では、医療法人淳信会の登坂正子理事長が未病対策に有効と指摘するサプリメントや健康食品なども販売しており、製造元の中小企業の経営支援につなげたい考えだ。
登坂理事長は「複数の栄養ケアスタンドと連携クリニックでデータを共有蓄積することで、ミネラルや有害金属に関するエビデンス(科学的根拠)を構築していきたい」と話している。
関連記事