日系各社が自負「米優先してきた」 首相とトヨタ社長が会談へ、トランプ氏に現実路線促す

 
トヨタ自動車の豊田章男社長(納冨康撮影)

 トヨタの豊田社長が安倍首相と会談する方向となったのは、日米首脳会談を控える中、日本の自動車業界に対するトランプ米大統領の偏見をただし、「現実路線」への対応を促す狙いがあるとみられる。トランプ氏は日本の自動車業界に対し米国での一段の雇用創出を執拗(しつよう)に要求。日本メーカーは既に雇用や生産も増やしている実情を示し、日米貿易摩擦の再燃を防ぎたい考えだ。

 「米優先で投資してきた、と必要であればいくらでもいう」

 米国での生産増強を繰り返してきた富士重工業の吉永泰之社長はこう話す。事実、日本の自動車メーカーはこの30年間で米国での現地生産を14倍に増やし、現在は約150万人を雇用している。日系各社は、米国経済に生産や雇用で貢献してきたとの自負があり、米国での投資拡大を繰り返し求めるトランプ氏の発言に困惑している。

 トランプ氏の大統領就任後、トヨタは米ケンタッキー州の工場の生産増強を発表したが、計画はもともと決まっていた。自動車の投資計画は長期的な展望も踏まえ慎重に時間をかけて決めるのが常識。急に投資を求められても対応は難しい。

 ただ、米国に進出している各社は「これまでもこれからも良き企業市民になるため努力する」(トヨタ幹部)とし、米国では中長期に安定投資を進める方針だ。過去から現在までの米市場での取り組みと、今後の姿勢をどう訴えかけ、オールジャパンでトランプ氏の理解を得られるかが焦点となる。(今井裕治)