日本通信とソフトバンクが“和解” 格安スマホの回線接続 サービス開始へ
回線の相互接続をめぐって争っていた、格安スマートフォンを手掛ける仮想移動体通信事業者(MVNO)の日本通信と、ソフトバンクが“和解”した。日本通信は1日、ソフトバンクと相互接続協定書を締結し、同社のiPhone(アイフォーン)契約者向け格安SIMカードの提供を始めると発表した。総務省の委員会が日本通信の主張を認めたことを受け、ソフトバンクが折れた形だ。(大坪玲央)
日本通信が3月22日に提供するソフトバンク契約者向け格安SIMカードを使うと、最新のアイフォーン7など、同社がSIMロック(自社回線以外で使えなくする仕組み)をかけたスマホも格安料金で利用できるようになる。日本通信は、ソフトバンクの回線を使った格安SIMカードが広まれば、「比較的短期間で、携帯電話契約者全体の中でMVNOの占めるシェアは倍になる」との見通しを示す。
日本通信はこれまで、NTTドコモの回線を使ったサービスを手掛けている。日本通信はソフトバンクに対しても回線の相互接続とSIMカードの提供を求めたが拒否されたとして総務省に申し立てた。
これに対しソフトバンクは、SIMカードは電気通信事業法で携帯事業者がMVNOに提供を義務付けられた設備の対象外と考えており、日本通信の求めに応じなくても電気通信事業法違反に当たらないと主張していた。
今年1月、総務省から諮問を受けた電気通信紛争処理委員会は、ソフトバンクの拒否に理由がないと判断し、両社の協議再開命令を出すのが妥当だとする答申を総務省に出した。
これを受け、両社は1月31日、総務省が命令を出す前に「自主的な取り組みとして相互接続に合意した」(ソフトバンク)という。
ソフトバンクは今後、他のMVNOとの回線接続にも応じる方針だ。これにより、MVNOはドコモ回線のほかソフトバンク回線も選択肢に入れることができるようになり、格安スマホの市場活性化と利用者増につながるとみられる。
ただ、携帯ジャーナリストの石川温氏は「ソフトバンクブランドからMVNOへの流出を食い止めるため、(同社の格安スマホブランド)ワイモバイルが他のMVNO以上に安い料金を提供してくる」と指摘する。MVNOは大手からの出遅れをどこまで挽回できるかが課題になる。
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