トヨタ、インドで「ものづくり学校」設立へ 技能指導に独自の生産方式反映
インドで今年夏、日本政府と企業が支援する「ものづくり学校」が設立される。10年間で3万人の人材育成を目指し、インドに現地法人を持つトヨタ自動車、スズキ、ダイキン工業がそれぞれ開校の準備を進める。トヨタは既存の技術学校を活用する方針で、独自の生産方式を「ものづくり」の技能伝授に反映させる考えだ。
「ヨシ! ヨシ!」。部品製造の実習で、動作確認を行う生徒たちの声が教室に響く。南部バンガロールにある「トヨタ工業技術学校」。現地法人「トヨタ・キルロスカ・モーター」(TKM)の敷地内にあり、140人の生徒が学んでいる。
設立は2007年。世帯年収が9万ルピー(約15万円)以下の貧困層で、経済的な理由から進学できない中学卒業の男子に専門技術を学ぶ機会を提供する。全寮制で3年間、英語などの一般科目のほか、溶接や塗装などを学び、卒業後はTKMや関連会社に就職することができる。学費などは無料で、選抜試験の倍率は100倍近くに達する。
卒業生でTKMに勤務するアナンド・クマールさんは「技術や英語も学べて、世界が変わった。両親に仕送りができることがうれしい」と笑みを見せる。同校では、体力づくりや生活管理、チームワークに関する指導も重視しており、元校長のゴーピナタ・ラオさんは「ものづくりには、技能だけではなく心身面も含めた人材育成が重要」と話す。
TKMでは、「ものづくり学校」がスタートしても当面は現在の設備を使い、従来のカリキュラムに沿った教育を行う予定だ。堀之内義広副社長は「これまでのやり方を踏まえながら、ものづくりの精神を示していきたい」と話している。
「ものづくり学校」の設立は、モディ首相が来日した昨年11月に日本、インド両政府が合意した。首脳会談後の記者会見で安倍晋三首相は「インドの製造業の底上げを図るため、官民が協力する」と述べた。(バンガロール 共同)
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