訪日客向けサイトで高度な情報提供 トレンダーズ・岡本伊久男社長

 

 春節(旧正月)の大型連休を活用し、今年も多くの中国人観光客が日本を訪れた。爆買いは一段落し、体験型などの「コト消費」などが人気を集め、インバウンド関連事業はさらなる成長が見込める。

 訪日客向けサイトを運営するトレンダーズの岡本伊久男社長は「提携などを模索して、より高度な情報を提供できるような環境を整えていきたい」と話す。

 --爆買いに代わって、越境EC(電子商取引)が注目を集めている

 「数年前は、日本で大量に品物を購入し、中国で販売するという人が多かった。現在は主役が越境ECにシフトしており、ショッピングサイトにメーカー自らが出店する事例も増えている。今後も運べば何とかなるものについては、越境ECの割合が多くなっていくだろう。その分、日本を訪れないと実現できない体験イベントに対するニーズが高まるはずだ」

 --運営するサイトでの対応も変わる

 「当社はウェブを通じ全国絶景スポットの写真を外国人に紹介し、地方の魅力を伝える『ZEKKEI(絶景) Japan』というサービスを提供している。これからは、体験の紹介をコンテンツとして強めていく必要がある」

 --越境EC事業が進むべき方向性は

 「相当の数のブランドは中国のサイトで普通に販売されている。関税の問題などを考えると普通に輸出して収益を計上することが難しい時代に突入した。こうした中、東京の百貨店で簡単に手に入るようなものでなく、南部鉄瓶に代表されるような本当に目利きをして選んだ地方の逸品は人気が高い。人気が高い色やデザインは移り変わっていくので、現地の好みを的確にとらえながら紹介する作業が必要だ」

 --こうした状況を踏まえたトレンダーズの戦略は

 「単体で取り組むのではなく、現地の強力なパートナーと提携して『ウィンウィン』の関係を構築できるようなEC事業を展開していきたい。当社はスマートフォンを活用して、見つけたギフトをその場で贈ることができる『アニー』というサービスを提供している。中国は贈り物文化の国なので、ECとうまく連動させながら事業を展開したい。われわれのようなベンチャーがECに取り組むに当たっては、何か特徴を出さなければうまくいかないだろう」

 --「ZEKKEI Japan」 事業は、どういった形で強化していくのか

 「これまでのコンテンツは花や富士山といった自然がほぼすべてを占めていた。今後は宿泊施設との連携を進め、『この宿からの眺めは絶景』といった写真の紹介にも力を入れる。また、中国や東南アジアからの観光客は今後、個人で旅行を楽しむ割合が増えるはずなので、旅のイメージを描けるようなサポートを行う必要がある。予約サイトをうまく活用すれば『沖縄でマリンスポーツを楽しめる』というような遊びや体験に関する情報も増やしていこうと思っている」

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【プロフィル】岡本伊久男

 おかもと・いくお 1993年筑波大第一学群人文学類卒。マクロミル取締役などを経て、2011年トレンダーズ取締役。14年5月から現職。47歳。和歌山県出身。

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【会社概要】トレンダーズ

 ▽本社=東京都渋谷区東3-9-19 ポーラ恵比寿ビル

 ▽設立=2000年4月

 ▽資本金=5億4695万円

 ▽従業員=86人

 ▽事業内容=マーケティング