ガス自由化、関電と大ガスが熾烈な値下げ競争 関東は東電が出遅れ長期戦
都市ガス小売りの全面自由化を4月に控え、大手ガスや大手電力が相次いで新料金プランを打ち出している。関西地域では家庭向けガス販売に新規参入する関西電力がいち早くプランを発表したものの、迎え撃つ大阪ガスが関電より安いプランで対抗。関電がさらに安いプランを打ち出し…と熾烈(しれつ)な値下げ競争が勃発している。一方、関東では東京ガスのライバルとみられていた東京電力ホールディングスがスタートダッシュに遅れたため、値下げ競争は盛り上がりを欠き、「西高東低」の様相を呈している。
電力の失地奪還へ
「われわれは新規参入者。できるだけお客さまにメリットを感じていただく必要がある」
関電は1月12日、4月以降の新プランを発表し、担当者はこう説明した。昨年末、関電は大ガスの現行料金より年間約8%安くなる標準家庭向けプランを発表していたが、大ガスが1月5日に関電より割安となる電気・ガスのセットプランを発表して反撃に出たため、“値下げの値下げ”を敢行した。
関電が大ガスより安い料金設定に執念を燃やすのは、昨年4月に始まった電力小売りの全面自由化で大ガスに顧客を26万件以上奪われた苦い経験があるからだ。関電は初年度の目標契約件数を、大ガスが電気で初年度目標に掲げた目標値と同じ20万件に設定し、「取られた分は取り返す」と鼻息が荒い。
関電は原子力発電所が再稼働した場合、電気料金を引き下げる方針を示しており、さらなる値下げの余力が残っている。これに対しても大ガスは危機感を隠さない。大ガスの本荘武宏社長は「全てのお客さまを守り切れるとは思っていないが、お客さまとの接点を作っていくことで信頼を勝ち取りたい」と力を込める。
東電は3カ月遅れ
一方、国内最大の都市ガス市場となる首都圏。東電は電力自由化で140万件以上の顧客を新電力に奪われ、その中で東ガスは約64万件の契約を獲得して新電力最大手に躍進した。ガス自由化でも「東電VS東ガス」の競争が再び激化するとみられていたが、盛り上がりは今一つだ。
理由は東電側の準備の遅れにある。東電HD傘下で小売り事業を手掛ける東電エナジーパートナー(EP)が家庭向けの都市ガス販売を始めるのは3カ月遅れの7月。しかも初年度の東電の契約目標件数はわずか4万件で、「社員や関係先が契約したらすぐ達成できてしまう楽な目標だ」(大手ガス関係者)と揶揄(やゆ)する声も漏れる。
だが東ガス側に楽観ムードはない。東ガスが液化天然ガス(LNG)の卸供給をしていた日本瓦斯(ニチガス)が、4月から都市ガスの卸供給元を東ガスから東電EPに変えるからだ。
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■東電VS東ガス“関東の陣” 長期戦の様相
“昨日の友は今日の敵”となり、東ガスの広瀬道明社長は「既に(ニチガスに供給していた)30万件の顧客を失った。関東は昨年から競争が始まっている」と危機感をあらわにする。 今月中に新料金プランを発表予定のニチガスも「東京ガスより10%は(料金を)安くしたい」(和田真治社長)と顧客獲得に意欲をみせており、脅威となる可能性がある。
もっとも、東電は都市ガスの原料や火力発電の燃料となるLNG調達量では東ガスを圧倒している。東電は現在、天然ガスから都市ガスを製造する熱量調整工程を東ガスに委託しているが、自前でできるようになれば挽回の余地は十分にある。東電EPは「2018年度には自社の熱量調整設備が完成する。そこから巻き返しを図りたい」と力を込める。
東ガスが牙城を守るのか、それとも東電・ニチガス連合が猛追するのか-。長期戦となりそうな“関東の陣”の行方も目が離せない。
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