マック、3年ぶり黒字転換も成長戦略に課題 店舗数は減少傾向 16年12月期
日本マクドナルドホールディングス(HD)が9日発表した2016年12月期の連結決算は、最終損益が53億円の黒字(前期は349億円の赤字)と、3年ぶりに黒字転換した。14年夏の期限切れ鶏肉使用の問題以降、業績が低迷していたが、期間限定商品や店舗改装といった施策を相次ぎ打ち出し、客足が戻りつつある。ただ、店舗数は減少傾向で、今後の成長力には課題を残す。
「信頼回復に向けた取り組みの相乗効果が出た」。同日会見したサラ・カサノバ社長は、業績改善の理由をこう説明した。
昨年4月に発売した「グランドビッグマック」は一時食材の供給が追いつかないほど人気になるなど、毎月のように期間限定商品やキャンペーンを展開し、話題を提供。昨年7月に開始したスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」との連携や、快適さを高めるため実施した555店舗の改装も集客につながった。
期限切れ鶏肉問題や異物混入問題が響き客足が遠のいていたが、こうした施策が奏功し16年12月期の売上高は前期比19.6%増の2266億円まで回復。売上高、最終利益ともに昨年11月に上方修正した業績予想をさらに上回った。
17年12月期はメニューの強化などで、売上高が4.3%増の2365億円、最終利益は58.4%増の85億円と増収増益を見込んでいる。
ただ、収益改善は不採算店の大量閉鎖の効果も大きい。昨年12月末の店舗数は2911と、期限切れ鶏肉問題が発生する前の13年12月末と比べ8%減少した。
17年12月期も新規出店は10~15の一方、閉鎖は20~30の計画で、全体の店舗数は若干減少する見通しだ。350~400店を改装するなど既存店の投資に注力する方針で、カサノバ社長は「既存店の潜在能力は大きく、将来的には過去最高益を狙う」と語る。
ただ、今期見込む最終利益(85億円)の水準は、過去最高だった11年12月期の132億円には及ばない。新規出店の抑制という“縮小均衡”ではない、成長戦略が求められている。
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