IT部門は社内で自分だけ…「ひとり情シス」深刻化 中堅企業を人手不足が直撃
情シス専任担当「1人か0人」の中堅企業が27%もの高い割合に。米デル日本法人(神奈川)が14日に発表した「IT動向調査」から、中堅企業のIT部門を取り巻く厳しい実態が分かった。デルは中堅企業向けの事業戦略も打ち出し、支援に乗り出した。
調査は、中堅企業(従業員数100名以上1000名未満)400社以上を対象に、2016年12月~2017年1月に実施。中堅企業におけるIT部門の人員数や他部門の社員と比較した給与体系などIT担当者を取り巻く環境について聞いた。
中堅企業のIT部門においてとりわけ課題となっているのが人員不足だ。社内のIT・情報システム部門を全て一人で切り盛りしなければいけない、いわゆる「ひとり情シス」に陥っている企業は少なくない。同調査では、IT部門の専任担当者が1人しかいない企業が14%、さらに専任担当者が「いない」という企業もほぼ同率の13%に上った。
「ひとり情シス」に至った企業の経緯をみると、「人員を増やせない」「人員削減で徐々に減っていった」などの回答が目立つ。大手企業と比べると人員にゆとりがなく、ぎりぎりの人数で業務をこなさなければならない中堅企業の悩みが浮き彫りとなった。
またIT担当者と他部門の社員の給与格差について聞いたところ、8割が「変わらない」と答えたが、従業員数300名以上500名未満の企業ではIT担当者の給与水準を高く設定する傾向があることが分かった。高額報酬によりIT人材を確保する企業もあり、少人数でIT部門を運用管理している企業では人材流出によりさらなるリスクにさらされる危険がある。
このような状況を踏まえ、デルでは「ひとり情シス」を支援する中堅企業向けサービスを開始する。充分な検討時間が取れない企業向けに最適なクラウドを提案したり、「ITコンシェルジュ」を設置し高度化する顧客ニーズに対応していくなど、中堅企業に特化したサポートを展開していく。(久住梨子)
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