三井住友、りそな 系列の関西地銀を再編へ 共同持ち株会社設立も検討
三井住友フィナンシャルグループ(FG)とりそなホールディングス(HD)が、それぞれ系列に抱える関西圏の地方銀行を経営統合させる協議に入ったことが20日、分かった。三井住友銀行が筆頭株主の関西アーバン銀行とみなと銀行、りそなHDの完全子会社の近畿大阪銀行が対象で、共同持ち株会社を設立し、傘下に3行がぶら下がる案などが検討されている。
月内の基本合意を目指す。共同持ち株会社には、りそなHDが過半出資し、三井住友FGも一定規模を出資する方向。大手銀行グループの垣根を越えた地銀再編が幕を開けた。
三井住友FGは国際金融規制への対応が急務となっている。傘下地銀を含めた保有株式の見直しが進めば、財務基盤の強化につながる。
一方、りそなHDは営業店舗が東京、大阪、埼玉の3都府県に集中しているのがネックで、今回の再編統合が実現すれば滋賀や兵庫の地盤を強化することができる。
ただ、関西アーバン銀と近畿大阪銀は営業エリアが重複しているため、統合後の店舗の扱いなどについて調整が難航する可能性もある。
三井住友FGとりそなHDはこの日、「現時点で決定した事実はない」とのコメントをそれぞれ発表した。
少子高齢化や大都市への人口流出に加え、日銀が昨年2月にマイナス金利政策を導入したことで、地銀の経営環境は一段と厳しさを増している。金融庁も地銀に対し、顧客本位の業務運営や持続可能なビジネスモデルへの転換を迫っており、資本余力の乏しい地銀の間では再編を模索する動きが活発化している。
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【用語解説】近畿大阪銀行
りそなHD傘下で近畿地方が地盤。本店は大阪市中央区。前身の近畿無尽は1942年に設立された。89年に近畿銀行に改称後、2000年に大阪銀行と合併し、近畿大阪銀行となった。01年に当時の大和銀行、奈良銀行と共同で、後にりそなグループとなる大和銀HDを設立した。16年9月末時点の預金量は3兆2280億円。京阪神などに計120店を展開し、従業員数は2127人(いずれも16年3月末時点)。
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【用語解説】みなと銀行
第二地方銀行の阪神銀行が、経営破綻した旧兵庫銀行の営業を譲り受けたみどり銀行を1999年に救済合併して発足。本店は神戸市中央区。兵庫県が営業基盤。阪神銀行の前身となる金融機関の設立は49年。2000年に株式公開買い付け(TOB)でさくら銀行(現三井住友銀行)の傘下に入った。16年9月末時点の預金量(単体)は3兆1364億円、貸出金2兆4949億円。昨年12月時点で店舗数は105、従業員数2170人。
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【用語解説】関西アーバン銀行
近畿が地盤の第二地方銀行。本店は大阪市中央区。前身の山城無尽の設立は1922年。戦後に関西相互銀行となり、89年に普銀転換で関西銀行となった。2004年に関西さわやか銀行と合併し、関西アーバン銀行が誕生。10年にはびわこ銀行を合併した。16年9月末時点の預金量(単体)は4兆63億円、貸出金は3兆7966億円。本支店や出張所を含めた店舗数は156、従業員数は約2600人。
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