美容室の経営強化へ顧客管理システム ティビィシィ・スキヤツト 安田茂幸社長

 

 美容業界向けシステム開発のティビィシィ・スキヤツトは、データを解析して顧客をリピーターとして囲い込むことで美容室の経営を安定化させる。昨年12月には東証ジャスダック市場に上場した。安田茂幸社長は「上場を第2の創業と位置付け、事業を発展させる」と意気込む。

 --リピーターを増やすサービスとは

 「美容室向けにPOS(販売時点情報管理)レジと連動して顧客管理と販売管理をするシステムを販売している。顧客の来店、施術内容、商品購買歴を集計し、分析する。顧客向けのスマートフォンアプリと連動して、来店促進のメールを配信し、予約受け付けすることでリピーターを獲得する」

 --美容業界の市場動向は

 「従来、美容室は8割が固定客とされてきたが、スマホの普及で大手ポータルサイトが割引クーポンを発行するようになり、流動化するようになった。新規顧客を獲得する一方で、歩留まりが悪く奪い合いになっている。これに対し当社では既存の顧客と店舗の双方向のコミュニケーションをとり、固定化することで店舗の売り上げを安定させている」

 --市場の可能性をどうみているか

 「美容室専用システムは約2万店に導入されている。当社は5700店に採用され、業界トップの約3割のシェアを獲得している。全国の美容室約24万店のうち、個人店を除く法人経営は約5万店でこれを市場と考えている。現在の2.5倍の市場が開拓できるとみている」

 --他社と比べての強みは

 「当社は1981年から美容室専用システムを開発し、業界の先駆けとなってきた。以降、30年以上にわたってノウハウを蓄積している。札幌から福岡まで全国8カ所の拠点で担当者がきめ細かく対応する。美容業界50年の大ベテランもいて、集客や売り上げ増のコンサルティングで力を発揮している」

 --経営計画について

 「10年以内に現在の導入店舗5700店を1万店に伸ばす。このため昨年12月の上場で得た資金は全てシステム開発に投入する。現時点で売上高に占める美容関連事業の割合は約6割だが、将来は圧倒的な比率に成長させる」

 --これから手掛けていく事業は

 「これまで美容関係で培った顧客管理、販売管理のシステムを異業種にも展開していく。既にリラクゼーションチェーンに導入されている。美容業界と似通った顧客管理、販売管理の構造なので、ほぼそのまま活用している。美容室は1カ月か2カ月ごとに1回通うが、リラクゼーションはもっと頻度が多いため、より販促効果は大きく美容業界より有望かもしれない。美容と似た業界には大きな市場があるだろう。またアプリを通じてシャンプー、トリートメント、化粧品、健康食品などの物販も視野に入れている」

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【プロフィル】安田茂幸

 やすだ・しげゆき 横浜市立大文理卒。1973年日本オリベッティ(現エヌ・ティ・ティ・データ・ジェトロニクス)入社。80年キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン)入社。81年企業内ベンチャーとして、スキヤツト(現ティビィシィ・スキヤツト)設立に参画。2002年ティビィシィ・スキヤツト入社。専務を経て、04年11月から現職。67歳。神奈川県出身。

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【会社概要】ティビィシィ・スキヤツト

 ▽本社=栃木県小山市城東1-6-33

 ▽設立=1969年12月

 ▽資本金=2億円

 ▽従業員=196人(2016年10月末時点)

 ▽売上高=28億6600万円(16年10月期)

 ▽事業内容=美容室向けICT、介護サービス、中小企業向けビジネスサービス