自然対話AIの「アトム」を作ろう

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「ATOM」

 ■講談社など5社 第1弾は週刊パートワーク

 講談社、手塚プロダクション、NTTドコモ、富士ソフト、VAIOの5社は「ATOMプロジェクト」と題し、往年の人気アニメ「鉄腕アトム」を題材にしたコミュニケーションロボットを開発する「ATOMプロジェクト」を開始する。第1弾として、講談社から週刊のパートワーク(毎週、部品を追加購入)「週刊 鉄腕アトムを作ろう!」が4月4日に発売される。創刊号は830円で、通常は1843円。高価格号として2306~9250円で提供される場合もある。パーツはモジュール化され、ドライバーひとつで組み立てられる。アトムの声は2003年から担当する声優の津村まこと氏。7号目で通電チェックのスタンドが完成する。

 ◆身長44センチで二足歩行

 ロボティクス、ロボットのOS、人工知能(AI)は富士ソフトが手掛ける。会話AIはNTTドコモの自然対話プラットフォームを活用。電気系統の基板の製造や組み立て代行サービス(料金は3万円程度)をVAIOが提供する。

 身長は約44センチ、重さは約1400グラム。頭部2軸、腕部6軸、脚部10軸で稼働する。CPUボードはRaspberryPi(ラズベリーパイ)3。Wi-Fi(IEEE802.11b/g/n)、Bluetooth4.1に対応する。

 筐体(きょうたい)設計は富士ソフトが新規に開発。身長は“実際のアトム”の約3分の1、特注サーボモーター18個で二足歩行を実現した。胸にタッチ操作対応の2.3インチ液晶ディスプレーを搭載、絵本コンテンツやラジオ体操、ユーチューブ動画を表示できる。

 フロントエンドAIも富士ソフトが手掛け、VAIO製のメインボードとラズベリーパイ3で制御する。内蔵カメラは顔認識に利用、相手の目を見つめるように会話する。LEDと音声処理は頭部に内蔵するヘッドボードが担当する。顔認識で最大12人の家族を登録し、その家族に合わせた会話をする。家族の誕生日なども記録でき、バースデーソングを歌うといったこともできる。

 肝となる会話部分は、NTTドコモの自然対話プラットフォームをベースに、講談社もその内容を協力して開発している。

 会話で表現される「アトム」の性格は、やや正義感が強く、友人としておせっかいを焼きたがるというもの。講談社の野間省伸社長は「アトム」について「キャラクター性、自然対話、エンターテインメントの3つを重要と考えた」と説明。家族の一員になること、そして成長することを重視する方針と述べており、今回の「アトム」では原作での正義のヒーローのような面よりも、ユーザーにとってパートナーたり得る存在を目指す。

 プロジェクトリーダーを務めた講談社の奈良原敦子氏は、どんな技術を用いても今はまだ手塚治虫が描いたアトムには及ばないが、今回は会話などで進化していくと説明。「手塚治虫先生は性格や行動全てを現代っ子に変化させたい、という構想を持っていた」と奈良原氏。利便性よりもパートナーとしての存在を追求することにし、今回は女性スタッフが「アトム」開発で大きな役割を担い、イマドキのアトムとして開発したのだという。

 ◆「家族」「個人」を記憶

 自然対話プラットフォームを担当するNTTドコモのエンジニア、角野公亮氏によれば、個人の趣味嗜好(しこう)や会話内容を学習して会話することはこれまでもあったが、「アトム」では家族に関する記憶と個人に関する記憶を両方活用できることが大きな特徴という。例えば、家族内で父親が語った内容を基に「さっきお父さんはこう言っていたよ」と他の家族へしゃべる…といった会話が可能になり、角野氏はこれを「想い出活用側のフレームワーク」と表現する。

 発表会に登壇した手塚治虫氏の子息で手塚プロダクションの手塚眞氏は、今回のプロジェクトに対する期待を述べた。

 「素晴らしい企業が集まり、最先端の技術を集めることができました。これは漫画やアニメというファンタジーの世界と科学が結びついた、初の試みだと思いますし、まさに夢のプロジェクトです。手塚治虫は1951年にアトム大使という作品でアトムを作り出しました。63年には日本初のテレビアニメシリーズとしてテレビにも登場し、大変な人気を博しました。そして2017年、ついにロボットとして再デビューを果たすわけです」

 「手塚治虫はだいたい50年後の未来を考えてロボットの世界を作り出しました。最初のアトム大使からは66年経っておりますが、いよいよ本当のロボットになります。今回のアトムはまだ生まれたてで、空を飛んだりしません。10万馬力もまだないと思いますが、未来に向けてどんどん進行していくプロジェクトです。まだまだたくさんの可能性を秘めているのではないかと考えます。大変楽しみにしているプロジェクトで、手塚本人の想いを継いで、日本から世界に向けて発信していける、平和の大使となっていくことを心から願っております」(インプレスウオッチ)