東芝の原発事業、どうリスク回避? 米撤退時の損失額が焦点

Q&A

 経営再建中の東芝が、巨額損失の元凶となった海外の原子力発電事業の見直しを急いでいる。将来のリスクを回避するために、どのような改革案を協議しているのかをQ&A形式でまとめた。

 Q 米国の原発事業でなぜ巨額損失が生じたのか

 A 米原発子会社のウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が2008年に米国で4基の原発を受注した。だが、11年の東京電力福島第1原発の事故で原発の安全基準が厳しくなると、原発の工期が遅れて人件費などのコストが大幅に増加した。今後は海外で建設工事を受注せず、原子炉などの設計や供給に特化する方針を示している。

 Q 損失がさらに膨らむ恐れは

 A 海外の原発事業を担うWHは、米国と中国で計8基の原発を手がけており、コストを減らしリスクを抑えながら継続するとしている。しかし、工期が遅れれば、追加の損失が発生し続け、東芝本体が再び損失を抱え込む可能性もある。東芝と取引のある銀行団や投資家にとっても、WHの改革が最大の懸念だ。

 Q リスクは回避できないのか

 A 複数の見直し案を協議中だが、WHに米連邦破産法第11条の適用を申請させ、一気に再建する案が選択肢の一つに浮上している。裁判所の管轄の下、原発建設事業を切り離すことができれば、新たな損失が発生するリスクを抑えて再建を進めやすくなる。

 Q 破産法申請の現実味は

 A 東芝は米国の原発建設でWHに対し、約8000億円の債務保証をしており、米国で建設中の原発事業から撤退すると、発注元に違約金などを支払う義務がある。東芝本体の収益への影響額は現時点で不明だが、巨額の負担が生じると半導体事業の売却で1兆円以上の資金を得ることができても吹き飛びかねない。このため、法的手続きを経ずにリスクを抑えるべきだとの意見もある。東芝はWHに調査チームを派遣して破産法適用時の影響額などを精査しており、この結果が申請の判断を大きく左右しそうだ。

 Q 今後の日程は

 A 14日にWHによる米原発建設会社の買収で不適切な行為の疑惑が発覚して延期になった16年4~12月期決算が発表される。合わせて、原発リスク回避の改革案を示せるかは、現時点では不透明だ。