東電、AIやIoTの新規事業に注力 新収益で福島事故費捻出

 

 東京電力ホールディングス(HD)が人工知能(AI)や、さまざまな機器をインターネットにつなぐ「モノのインターネット(IoT)」関連での新規事業開拓を加速させている。電力・ガス小売りの全面自由化で競争激化が避けられない中、異業種への出資や提携を通じて新たな収益源を見いだし、福島第1原発事故の対応費用を捻出する狙いがある。

 東電HDは1日、エネルギー関連のベンチャー企業に投資する米ファンド「エナジー・インパクト・ファンド」に約5億5000万円の出資を決めた。出資にとどまらず、人材を派遣して出資先のベンチャー企業で技術を学ぶほか、同ファンドに出資する海外電力大手との連携の可能性も探る。

 今回の出資は、社員や外部人材で構成される約30人の社内組織「新成長タスクフォース事務局」が主導した。同事務局は最先端技術やビジネスモデルを持つ海外ベンチャーへの投資を手掛けており、これまでに米国でAIを使った電力向けサービスを提供するベンチャーや風力発電ベンチャーに出資してきた実績がある。

 国内では昨年11月、東電HD子会社の東京電力パワーグリッド(PG)がパナソニック、日立製作所と共同で、住宅内に設置したセンサーで家電利用状況を確認し、高齢者の見守りや家電の故障検知といったサービスにつなげる実証実験を始めた。

 東電がこうした取り組みに力を入れる背景には、福島第1原発の廃炉や賠償などの対応費用を支払うために収益力を高める必要があるからだ。

 さらに2020年の発送電分離では垣根を越えた業界再編が起こる可能性もあり、今後も新たな“メシの種”発掘に注力する考えだ。

                   ◇

 ■東電HDが進める他社との提携や新規事業開拓

 (提携・出資先/事業内容)

 エナジー・インパクト・ファンド(米国)

 ・約5億5000万円を出資するほか、人材派遣も

 ヴィア・サイエンス(米国)

 ・人工知能を使った電力向けサービスのノウハウを獲得

 ユナイテッド・ウィンド(米国)

 ・小型風力発電と組み合わせた電力小売りノウハウを学び、国内導入の可能性を検討

 パナソニック日立製作所

 ・センサーを活用した高齢者の見守りや家電の故障検知サービス実用化に向けた実証実験を開始