電機、ベア交渉難航 前年の1500円を下回る恐れ
春闘電機大手の平成29年春闘交渉は終盤に入り、月額1000円前後のベースアップ(ベア)を軸に、労使の激しい攻防が続いている。電機連合の野中孝泰中央執行委員長は6日、「賃金水準の論議にも入っていない。労使で考え方に隔たりがある」と述べ、厳しい交渉状況を訴えた。電機連合が統一要求に掲げた昨年と同水準の月額3000円以上のベア実現は厳しく、妥結水準は前年実績(1500円)を下回る見通しが強まっている。
6日の会議では、各社労組の幹部らが経営側との交渉状況を報告。「労使間の距離はまだまだ遠い」「経営側の厳しい姿勢を崩せず、賃金水準の感触がつかめていない」などの声があがり、統一要求の半額が“着地点”となった過去3年に比べ、一段と厳しい実情が浮き彫りとなった。
野中委員長は「着実に生活水準が改善していることを肌で感じることが内需を換起する」と強調。その上で「いかに厳しい環境にあっても労使の社会的責任と役割を果たし、魅力ある電機産業を築いていかなければならない」と述べ、ベアにこだわる姿勢を改めて訴えた。
電機大手は26年に2000円▽27年は3000円▽28年は1500円-のベアを実施した。しかし、各社の業績は円高や海外市場の減速などで減収・減益傾向が続く。経営側は、過去3年連続のベア実施によるコスト負担増や、業績見通しの不透明感を理由に慎重な姿勢を崩していない。
実際、日立製作所は3年連続のベア実施で、グループ全体で人件費が180億円も増えたという。米トランプ政権の誕生や英国の欧州連合(EU)離脱決定などで世界経済の不透明感が広がっていることも、経営側の大きな悩みの種だ。15日の集中回答日に向け、交渉は一段と厳しさを増している。(宇野貴文)
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