“本物”のマンガ普及 うれしい想定外
インターネットWatch■「アニメイト」バンコク店 初年度黒字見通し
ジャパンマンガアライアンス(JMA)は、アニメグッズショップ「アニメイト」のバンコク店設立から1周年を迎えるに当たり、これまでの1年間の事業内容について報告を行った。
JMAはアニメイト、KADOKAWA、講談社、集英社、小学館の5社が設立した合弁会社。実店舗運営を通じ、海賊版対策の強化、マンガ/アニメの最新情報発信と現地リサーチを行い、インバウンドの拠点作りを行うことが目的だ。
この活動の第1弾として、バンコク中心部サイアムエリアにあるマーブンクロン(MBK)センター7階に、販売拠点となるアニメイトバンコク店を2016年2月6日にオープン。店内には日本から取り寄せた各種グッズ類をはじめ、日本語/タイ語の書籍もラインアップ。サイン会やミニライブなど各種イベントを開催するためのスペースも店舗内に常設している。
◆高い月間購入単価
現在、バンコク店の会員登録数は約3万5000人、アクティブ会員数は約1万3000人。会員の月間購入平均単価は約1530円で、タイ語版のマンガ5~7冊程度の金額に相当するという。JMA社長の國枝伸吾氏によると、タイの大卒初任給が4万2000円程度であることを考慮すると、月間購入単価は非常に高いという。
また、全体の売り上げの20%をアクティブな顧客の4.5%が生み出し、この層の月間購入平均単価は約6200円に上る。コアなファンも確実に獲得していることから、國枝氏は「タイ市場が少しずつ醸成されている」手応えを感じたそうだ。
男女購入額比率は57対43。日本は女性比率が高いが、タイでは逆転しているという。また、年齢分布は10~20代の購入金額が突出している。
ジャンル別売り上げ構成比では、現地仕入れ分と日本からの輸入品を合わせたグッズ類が62%を占めた。次いでタイ語版書籍が16%、日本語版書籍が13%、オーディオビジュアル商品は9%。当初、海賊版が出回りやすいオーディオビジュアル商品の売り上げを懸念していたものの、予想より高い構成比となり、今後も売り上げを伸ばせる余地があると捉えることができたそうだ。単価の低い商品は日本と近しい形で売り上げ数が上がり、クリアファイルや缶バッジ、アクリルキーホルダーなどが売れているという。
また、書籍に関しては16年は「君の名は。」の小説が1位、マンガ版が2位を獲得、各1000冊以上を売り上げた。日本でアニメ化されている「ワンパンマン」「ワンピース」といった定番作品もトップ10圏内に入り、ライトノベルも好調だそうだ。具体的な数値は出ていないが、タイ語版で展開した作品は人気が1段階上がることが分かったという。
◆海賊版反対運動も
店舗では期間限定ストアやミニライブ、トークショーなど隔週でイベントを実施。フェイスブック上に7万5000人のフォロワーを擁し、イベント告知を行うと最低300人以上の参加者を獲得できた。タイでは講演会やイベントの記者会見を行う場所が少ないため、店舗前のイベントホールを活用し、マンガ/アニメの告知も積極的に行うそうだ。16年7月には新作発表会および海賊版反対イベント「ANiCO」を、タイのマンガ翻訳出版社11社で構成する海賊版対策連合「R2R:Read 2 Rights」と共催。海賊版による被害を訴え、日本のコンテンツの魅力のアピールも行ってきた。また、アニメイト会員カードの作成時には海賊版に反対する旨に合意する必要があるなど、普段から海賊版撲滅に向けた意識作りも行っている。バンコク店オープン当初も「日本の“本物”のマンガ/アニメ専門ショップ」といううたい方で告知した。
MBKセンター内を含め、バンコクには海賊版を取り扱うショップが多数存在する。そういった店に対し、時期は未定としながらも「何らかのアクションを取っていく」としている。
なお、初年度から黒字化の見通しが立っており、日本の同規模の店舗と比較しても売り上げは非常に好調だそうだ。一方で「昨年の段階で黒字になることは全く想定していなかった」という。正規品と接する場所がタイにできることにより、“本物志向”になる顧客の数が少しずつ増えていることを実感しているという。
講談社取締役兼JMA取締役の峰岸延也氏は、海外で日本の書籍を発刊できる体制が整った次のステップとして「現地に日本と同じようなタッチポイントを作ることが重要」と述べる。「ライセンサーとして、その先の現地を温めることをセットで行うことが海外に本当のマンガを知らしめていくことになる」と持論を展開した。
集英社コミック販売部部長兼JMA取締役の隅野叙雄氏は、バンコク進出で、現地事情が手に取るように分かるようになったという。他社間の作品のコラボやイベントにも手応えを感じ「もう一度アニメを正しい形で世界で発信することを認識できた1年」だったと振り返った。
なお、JMAは活動の一環として、3月1日に東京タワー内のツーリストインフォメーションセンター(東京タワーTIC)に「アニメイトJMA東京タワー」を出店した。JTBコミュニケーションデザインと協業したもので、訪日外国人が日本のマンガ/アニメ作品に接する場として展開する。國枝氏は「(東京タワーの)訪日外国人の入場者数は年間56万人超。日本のマンガ/アニメの容易なタッチポイントになる販売拠点を設けることで、JMAの設立目的にまた一歩近づけることを願っている」と語った。(インプレスウオッチ)
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