東急パワーサプライ 電気サービスで新たな生活体験提案

トップは語る

 □東急パワーサプライ社長・村井健二さん(52)

 --家庭用電気サービス「東急でんき」の手応えは

 「8万8000件以上の申し込みがあり、今年度内には当初目標の10万件に達すると見込んでいる。顧客の大半は東急線沿線の住民で、特に横浜市青葉区では総世帯数(約13万世帯)の1割以上に東急でんきに切り替えていただいた」

 --契約が順調な要因は

 「沿線で延べ約700回のPRイベントを行って認知度を高めるとともに、お客さまと直接話すことによって切り替えに対する漠然とした不安を取り除く機会を設けた。東急グループの他のサービスと相乗効果が出るプランを用意したほか、電気使用量にかかわらず、切り替えで電気代が安くなるようにしたのも好調の理由だ」

 --異業種である電力事業に参入した狙いは

 「目指したのは、エネルギーとともに『新しい生活体験を提案する』ということ。東急グループは交通事業を基盤としたまちづくりを手掛けており、通勤や買い物などの日常の延長線上に電気もあると考えた。電気サービスでグループとお客さまとの接点をより強固なものにすることもできる」

 --2年目以降の事業戦略は

 「2年目の販売目標は特に設けないが、早期に契約30万件を目指す。沿線で2割程度のシェアを確保したいが、同時に沿線で働いている人や訪れる人も大切にして地域プロバイダーとしての存在感を出していきたい」

 --4月には都市ガス小売りの全面自由化も始まる

 「(参入を)前向きに検討しているが、時期は未定だ。年内に方針を決めたい。液化天然ガスの調達や保安業務など参入の難しさはあるが、電気とガスをセット提供できるのは魅力的だ。既にお客さまから『ガスもやりますよね?』という言葉もいただいている」

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【プロフィル】村井健二

 むらい・けんじ 早大理工卒。1988年東京急行電鉄入社。イッツ・コミュニケーションズ取締役常務執行役員や東急生活サービス事業部電力事業推進部統括部長などを経て2015年10月から現職。千葉県出身。