DJIが産業向け強化鮮明
ドローンタイムズ■現場用高性能機「M200」を発表
ドローンの市場シェアで群を抜く世界最大のメーカー、DJI(中国)が、産業向けを強化する姿勢を鮮明にしている。2月26日に建設現場や災害現場での用途を想定した高性能機「Matrice200(マトリス200、以降M200)シリーズ」を発表。3月1日に、すでに発表している高性能農薬散布用ドローン「AGRAS MG-1(アグラスMG-1、以降MG-1)」の国内での販売を開始した。
M200は、建設現場や橋梁(きょうりょう)、鉄塔などのインフラ点検、救難捜索現場などで使用することを目的としたシリーズ。カーボンファイバー製のアームに取り付けられたモーターと、風に強い17インチのプロペラが印象的で、機体のフロント部にはビルトインタイプのカメラと障害物回避用に2つのセンサーが取り付けられている。
付近を飛行する他の航空機やヘリコプターのパイロットに警告するための、航空機検出システムのADS-B受信機(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)も内蔵している。
耐候性にすぐれ、防塵、防水の国際規格では「IP43」レベルの保護等級を達成。濃霧や雨天時でも飛行が可能となった。飛行時間は状況により異なるが、大型の「TB55バッテリー」を使用して、「X4Sカメラ」を搭載した場合で35分間だ。使用後の格納、使用の準備のための展開など、機動性も重視している。
シリーズには、カメラを固定するジンバルがひとつの「M200」、デュアルマウントまたはトップマウントを含む複数で構成された「M210」、飛行中にセンチメートルの単位の細かいナビゲーションを可能にするシステムを備えた「210RTK」の3タイプがある。機体の重量は3.8キログラムで4月以降の出荷を予定している。
一方、3月1日に発売したMG-1は、液体の農薬、肥料、除草剤などの散布を適切な場所に、適量を行うなど、高い精度が求められる現場を想定して設計されたオクトコプターだ。液体肥料などを10キログラムまで積み込むことができる。
防水性、防塵性、耐食性を強化したほか、フライトコントローラーや飛行中の信頼性を高めるレーダー感知システムなどDJIの最新技術を数多く採用している。
MG-1を使うことが想定される農業従事者やオペレーター向けに、農薬の取り扱い方法などを含む操作方法を収得するための教育プログラムや、機体を適切に保つサービスも提供し、利用者が効果的に扱えるようにするためのサービスも充実させる考えだ。
□DJI JAPAN・呉韜(ごとう)代表インタビュー
■業務用途中心に「空の価値」提供
DJI JAPANの呉韜代表取締役は、ドローンタイムズのインタビューに応じ、基本方針や2017年の展望などについて語った。
「DJIは、空の価値を提供することで社会に貢献する会社です。ユーザーのニーズを発見し、それを満たすものを提供して参りました。これからも貢献すべきニーズを見極め、勇気をもって判断し取り組みます」
「2017年は建設、農業、災害対策などの業務用途を中心にさらなる発展を目指します。2月26日に発表した『Matrice200シリーズ』もその一環です」
「また『建設』と言っても、測量と点検とではニーズも使い方もまったく異なります。それぞれの個別のニーズに沿って価値を提供することが大切です。中にはDJIだけではできないこともありますので、日本国内の優れたパートナー企業と組んで、『TEAM DJI』として貢献していきます。現在も日々、パートナー候補の企業と打ち合わせを重ねています」
「日本では、2015年に首相官邸で不審物として発見されて、ドローンの知名度が高まりました。その頃はドローンを持っているだけで通報された、ということもありました。しかし、この2年で環境は劇的に変化しました。これからもさらに変化します。私は近い将来、各家庭に1台、ドローンがあり、それぞれに貢献する時期が来ると思っています」
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