米首都近くにカジノオープン

遊技産業の視点 Weekly View

 □シークエンス取締役、LOGOSインテリジェンスフェロー・木村和史

 米国の首都、ワシントンの中心部から市内を縦断するポトマック川沿いに約5キロ、車で15分ほど南に下ると、メリーランド州に入り、観覧車が見えてくる。このエリアが2008年から開発されてきた「ナショナル・ハーバー」で、ラグジュアリーホテル、コンベンションセンター、飲食店、居住アパートなどが林立している。16年12月8日、このナショナル・ハーバーの東側に、統合型リゾート運営で世界展開するMGMリゾーツ・インターナショナルがカジノを含む統合型リゾートホテル「MGMナショナル・ハーバー」をオープンした。

 まず、米国で公認されているギャンブルについて概観してみたい。同地では、賭博種は一般的なカジノ、カードルーム、慈善事業カジノ(ビンゴ)、ロッテリー(宝くじ)、パリミューチェル式ギャンブル(競馬、ドッグレース)などに大別される。カードルームはトランプで賭けごとができる場所、慈善事業カジノはNPO団体(教会など)が主催するギャンブルを伴った非営利目的のパーティーの類で、これら2つは広義のカジノに含まれると言ってよい。また、競馬場にスロットマシンやテレビゲーム機を設置して集客率を挙げる「ラシーノ(RACINOS)」という業態もあり、これも広義にはカジノといえるだろう。なお、一般的なカジノは、大きく商業カジノと部族カジノの2つに分類され、前者は日本でもIRとともに議論されている民間企業が運営するカジノを指し、部族カジノとは先住アメリカン部族が運営するカジノのことを指す。

 そして、これら各賭博種の許可についてだが、合衆国憲法に基づく連邦法では規定されておらず、ギャンブル事業自体、おおむね自由という原則を採っている。このため許可は州憲法のもと、州法によってその有無が決定されている。日本では曲解されている部分もあるが、「憲法は為政者たちの行動を戒めるためのものであり、国民を縛るためのものではない」。カジノの許可にしても、市民の生活に関する問題は地域で決定するという、中央政府権限の縮小と自治意識が根底にある。(つづく)

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【プロフィル】木村和史

 きむら・かずし 1970年生まれ。同志社大学経済学部卒。大手シンクタンク勤務時代に遊技業界の調査やコンサルティング、書籍編集に携わる。現在は独立し、雑誌「シークエンス」の取締役を務める傍ら、アジア情勢のリポート執筆など手掛ける。