三越伊勢丹HD新経営陣“周回遅れ”の改革 不採算店舗の整理、リストラ敢行
4月1日付で三越伊勢丹ホールディングス(HD)の社長に就任する杉江俊彦取締役専務執行役員が13日会見し、人件費の削減やビジネスモデルの見直しといった構造改革を加速させる方針を強調した。大西洋社長の引責辞任を受けて就任する杉江氏は、具体的な構造改革案については「5月の決算発表時に公表する」と説明した。だが、人事をめぐる一連の混乱で、改革に遅れが生じる可能性も否定できない。
杉江氏ら新経営陣がまず取り組むのは“周回遅れ”とも揶揄(やゆ)される、不採算店舗の縮小や人件費の圧縮といったリストラだ。
ただ、今回の人事は大西氏が昨年11月に松山三越(松山市)などの4店舗について、機関決定していないにもかかわらず売り場縮小などの候補に挙げ、労働組合や従業員から不興を買ったことが発端だ。杉江氏も「社内の人間と対話が不足していた」と非難した。
杉江氏は業績が低迷する地方店について、現時点で閉鎖は検討していないものの、「主要店を含め何らかの手は打たないといけない」と話した。だが、杉江氏が社内や労組との調整に手間取れば、不採算店舗の整理・縮小がさらに遅れる懸念もくすぶる。
また、国内市場で百貨店離れが進むなか、業態転換も避けられない状況だ。
そもそも三越伊勢丹HDがリストラを迫られているのは、百貨店事業に過度に依存した経営体質だからだ。同社の連結売上高に占める百貨店事業の構成比率は2016年3月期で92.2%。ライバルのJ.フロントリテイリングの65.5%(16年2月期)などと比べ高く、その分、訪日外国人による“爆買い”鈍化の影響をもろに受けた。
J.フロントは衣料品店「ユニクロ」など専門店を大胆に誘致し、高島屋も不動産事業に力を入れる。これに対し、三越伊勢丹HDは自前の売り場づくりにこだわるあまり、“脱百貨店依存”から取り残された。杉江氏は不動産事業やインターネット通販の強化を打ち出したが、遅きに失した感は否めない。
経営戦略本部長として大西氏を補佐してきた杉江氏は、構造改革の方針について「これまでと方向性は変わらない」と説明した。だが、一連の人事をめぐる混乱で構造改革案の策定は、当初計画の3月末から5月に遅れた。改革実行も遅れるのであれば、三越伊勢丹HDが失うものはあまりにも大きい。(大柳聡庸)
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