廃棄タイルカーペットを再資源化 リファインバース・越智晶社長
工場や家庭から出るプラスチックなど石油由来の廃棄物を「都市油田」と捉え、資源としてリサイクルする動きが注目されている。リファインバースは国内で唯一、オフィスの床に使われるタイルカーペットの再生をビジネス化した。越智晶社長は「さまざまな廃棄物から再生資源を生みだし、次世代素材メーカーを目指す」と意気込む。
--リサイクル方法は
「オフィスの移転などに伴って廃棄されるタイルカーペットを回収して、独自に開発した技術で再資源化する。表面のナイロン製化学繊維と、塩化ビニールの裏打ち層の異なる素材が組み合わされているため、これまでは再資源化が難しく埋め立て処分されていた。しかし独自の高度な工作機械技術をベースに、塩化ビニールの樹脂層を特殊な刃物で削り取り粉体化させることに成功した。タイルカーペット原料として国内の主要メーカーに供給するほか、一部輸出もしている」
--どのようなビジネスモデルなのか
「まず、原材料の調達にあたる回収で廃棄物処理委託費を課金し、再生樹脂をメーカーに販売する。調達と販売の両方で利益を生み出す収益性の高さが特徴だ。調達と販売ともに年率で約10%ずつ成長している」
--タイルカーペットの市場は
「国内使用量は年間約3000万平方メートルとされ、当社の再生資源量は年間400万平方メートルなので伸びしろは大きい。少なくとも国内使用量の50%までは成長の余地があるだろう。ニッチな分野なので大手企業にとっては事業化のメリットが乏しい。一方、原材料調達から製造、販売のバリューチェーンの構築は、ベンチャー企業にとってはリスクが大きく新規参入の障壁は高い。カーペットは、ビルのテナントが入れ替わるたびに交換されることが多く、景気に左右されにくい安定した市場を形成している」
--新工場を7月から稼働させるが
「これまで廃棄していたカーペット表面のナイロン樹脂の再資源化にも取り組む。ほかにも石炭を燃焼した灰と建設工事に伴って発生する廃棄物を原料として、鉄の製造工程で使用する『製鋼副資材』の生産を新日鉄住金の協力を得ながら始める」
--新たな事業の構想は
「タイルカーペットの再資源化を進めるとともに、他の分野にも取り組んでいく。例えば建築資材でも硬質床材や壁紙は活用されていない。ほかにも自動車のエアバッグ、漁網など再生されていない廃棄物を再資源化するために研究中だ。自動車などの分野で製品軽量化や省資源化の重要性が高まり、プラスチック材料への代替がさらに進むと見込まれている。将来は、多様な廃棄物を資源化して素材再生企業として新しい事業分野を創出し、社会の持続的発展に寄与したい」
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【プロフィル】越智晶
おち・あきら 明治学院大経卒。1993年ノエビア入社。大前・ビジネス・ディベロップメンツを経て、御美商(現ジーエムエス)副社長。2003年12月リファインバースを設立し、現職。46歳。愛媛県出身。
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【会社概要】リファインバース
▽本社=東京都中央区日本橋人形町3-10-1 かしきち人形町ビル6階
▽設立=2003年12月
▽資本金=3億9400万円
▽従業員=37人(17年2月末時点)
▽売上高=24億600万円(17年6月期予想)
▽事業内容=再生樹脂の製造販売、産業廃棄物の中間処理、リサイクルに関する新規事業開発
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