東電HDが「新々総合特別事業計画」の骨子公表 原発と送配電で再編・統合

 
東電の新計画の骨子

 東京電力ホールディングス(HD)は22日、新たな経営再建計画「新々総合特別事業計画」の骨子を公表した。福島第1原発の事故対応費用が約22兆円に膨らむため、2017年度からとしていた脱国有化の判断を19年度に先送りする。原子力事業と送配電事業は他社と共同事業体を設立して再編・統合することを盛り込んだ。一方、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働時期は示さなかった。

 計画では、送配電事業は20年代初めに他の大手電力と共同事業体を設立。事業の合理化で託送料金の原価を押し下げ、25年度までに16年度比で年間1500億円程度のコスト削減を目指す。

 原子力事業は国内の原子力事業者と技術・人材確保や育成、新たな軽水炉開発などで連携し、中長期的には海外で原発や廃炉を手掛けることを目指す。共同事業体設立の時期は「各社とも(自社の原発の)再稼働に手いっぱい」(文挾(ふばさみ)誠一常務執行役)なため、明記しなかった。

 中部電力との火力事業の完全統合については、「必要不可欠」とした。中部電は骨子の中身を精査した上で、近く完全統合の可否を最終判断する。

 東電は、現在の再建計画で17年度からの脱国有化を目指していた。だが、原発事故の対応費用が従来試算の倍に膨れ上がったため、国は東電への関与を続ける。

 骨子は経済産業省の有識者委員会が昨年末にまとめた提言内容を基に作成した。4月にも10年間の収支見通しを盛り込んだ計画全体を策定し、政府の認定を受ける見通し。骨子に盛り込まれなかった改革の具体策を示せるかが焦点になる。