フィリピンに日本のB級グルメのフードコートがお目見え 中間層狙う
フィリピンの首都マニラのビルに、フロア全体に日本料理店だけが軒を連ねるフードコートがお目見えした。日本料理といっても、肩肘張らない庶民の味「B級グルメ」が中心だ。1兆円規模ともいわれるフィリピンの外食市場。ターゲットは都市部で急増する中間層の胃袋だ。
観光名所としても知られるバクララン教会の近く。下町の風情が残る一角のビル4階に2月1日、フードコート「横丁」がオープンした。約800平方メートルのフロアに10軒ほどの屋台風の店舗が並び、赤ちょうちんや古めかしいデザインのビールのポスターが日本をほうふつとさせる。
運営するのは、日本の飲食店の海外進出を支援するジャパンフード千鳥(本社・東京都)。豊山佳凡社長は「気軽に日本の食を楽しんでもらい、ビジネスチャンスにつなげたい」と話す。
仙台市の「肉のいとう」や埼玉県幸手市のラーメン店「来集軒」のほか、北海道・帯広名物の豚丼店などが出店。たこ焼きや焼きそば、とんかつを出す店もあり、日本酒も提供している。
メニューには「チーズカレーラーメン」(189ペソ=約420円)、「オムレツチャーハン」(79ペソ)、「からしマヨたこやき」(78ペソ)などがずらり。フィリピンでは、日本料理は概して値段が高く、富裕層や外国人が主な客層になりがちだったが、価格設定を「ローカルフードに近づけた」(豊山社長)。
昼時にはフロアの160席がほぼ埋まることもある。口コミで知ったという男性は「日本の食べ物の幅広さを知った。コストパフォーマンスがいいからまた来るよ」。
フィリピンのここ数年の経済成長率は東南アジア諸国連合(ASEAN)でも群を抜く。2015年の1人当たり国民総所得は05年比で2.3倍の3550ドル(約40万円)となり、中間層も増え始めている。約1億人の人口も魅力だ。
このフードコートには、フィリピン進出を検討する日本の飲食店が試験出店することも可能。豊山社長は日本食とフィリピン人の橋渡しをしたいと意気込んでいる。(マニラ 共同)
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