大王製紙・石川繁夫氏 トイレの環境改善に“紙業”

私の仕事
「日本のトイレットペーパーの柔らかさは世界でトップクラス」と話す石川繁夫氏

 大王製紙のグローバル商品開発本部で、新しいトイレットペーパーの商品企画を担当するマーケットリサーチグループ係長。まず、どんな品質にすると売り上げが伸びるかを調査するため、顧客にトイレ全体の悩みを聞き、開発に反映する。

 2013年に、消臭機能をもつトイレットペーパー「エリエール消臭+(プラス)」を商品化した。「アンケートで、トイレのにおいに困っている人が多かったことから考えついた」

 トイレットペーパーの「芯(しん)」に嫌な臭いだけを取りのぞく消臭剤をつけた。どのくらい消臭剤を付けると、トイレ全体の悪臭がなくなるかを調べるため、小さな箱に、においのある空気と消臭剤をつけた紙を入れて何度も実験した。さらに、花やレモンのような、さわやかな香りも付け、においが気にならないように工夫した。

 最近は海外出張のたびに、世界各国で現地の人たちのトイレットペーパーの使い方を調べている。とても硬い紙を使っていたり、トイレに置かれていないため自前で小さな紙を持ち歩いたりしているケースもあった。

 「日本と違っていて、驚くことが多い。来日した外国人も、同じように驚いていると思う」と今後の商品開発に反映させる考えだ。

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【プロフィル】石川繁夫

 いしかわ・しげお 東京理科大大学院修了。大学で化学を学び、その知識を日用品の開発に生かしたいと、2001年大王製紙に入社。42歳。東京都出身。