BMWジャパン、今後はネットや生活情報メディアとの接点強化

広報エキスパート

 ■BMWグループ・ジャパン広報部長・田中誠司氏

 --BMWグループは、昨年100周年を迎えました

 現在BMW、MINI、ロールス・ロイスの3つのブランドを持ち、14カ国に31の生産工場を保有、日本を含む140カ国以上で販売しています。BMWグループ・ジャパンがドイツ本社の100%子会社として設立されたのは1981年。BMW、MINI、BMW2輪を販売しており、グループの信条「モビリティが人々の人生を形作る」を基に、プレミアムな品質、機能、サービスを提供するリーダーとして、BMWファンを増やしていきたいと思っています。

 --「MINI」のブランドが定着しました

 「MINI」が新世代に生まれ変わったのが2001年。日本では、3月2日を「ミニの日」と名付け、02年のこの日に発売しました。コンパクトで高性能ということが、30代以降の高品質車を好む層に受けました。3ドアが中心でしたが、一昨年から5ドアが加わりました。トランプ米大統領の「日本の自動車市場は閉鎖的」という発言の折には、NHKや経済誌などで、外国車でも乗りやすさや使いやすさを向上させれば売り上げを伸ばせることを取り上げていただきました。

 --昨年、お台場に国内最大のショールームがオープンしました

 「BMW GROUP Tokyo Bay」の特徴は、BMWとMINIの国内最大規模のショールームに、最大で約100台の試乗車を用意していることです。7月のグランドオープンには新聞、雑誌、テレビの記者やカメラマンをはじめ、約300人が集まりました。テレビではその日のニュースで、新聞、雑誌では翌日から数週間にわたり取り上げていただきました。同年第2四半期の日本メディア・カバレッジは、トヨタ自動車に次ぐ自動車業界2位の好結果を得られました。

 --日々の広報対応は

 広報部のメンバーは総勢8人です。メディアは一般紙、経済紙、専門紙、自動車雑誌をメーンに新車や機能性などについて情報発信しています。電気自動車やスポーツカーなどがテーマの取材も結構あります。自動車は高額商品なので、専門家の意見を聞きたいというクルマ愛好家に自動車雑誌がよく読まれていますので、広報活動の軸に据えています。特に重視していることは、実際に試乗していただくことです。プレス用の貸し出し車は常時約70台あります。

 --危機管理体制は

 広報部はドイツ本社のトップ直轄体制です。近年、タカタ製エアバッグの不具合が原因でリコール(回収・無償修理)を国交省に届け出ましたが、このような危機的なことが発生した場合、「メディアにはこう答えてください」というガイドラインが本社から明確に指示されます。トランプ大統領から見直しを迫られた、メキシコ工場建設計画についても、トップが計画を変更しないことを明言し、その情報がすぐ末端まで届きました。

 --今後の課題は

 広報にも時代の流れがあります。新車発表会や試乗会は、記者の皆さんとのベストなコミュニケーションの場と思っていますが、これからはデジタルメディアへの対応も強化していきます。またBMW、MINIともにライフスタイル化した商品になりつつありますので、生活情報誌などとの接点も強化していきます。(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子)

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【プロフィル】田中誠司

 たなか・せいじ 1997年筑波大学基礎工学類卒、同大学院博士課程工学研究科中退。「カーグラフィック」編集長、フィアット・クライスラー・ジャパンなどを経て2014年BMWグループ・ジャパン入社。16年から現職。