ABCコーヒー、初の実店舗カフェ IT導入で抽出手順を適正化
コーヒー豆の会員制定期通販を手がけるABC Coffee(ABCコーヒー、東京都渋谷区)が同社初の実店舗となるカフェを東京・自由が丘に開店した。元ITエンジニアで創業者の大塚ケビン最高経営責任者(CEO)は、米カリフォルニア州のカフェで主流となりつつある会員制も導入し、来店者同士がつながる“コミュニティーカフェ”に育てたいと期待を寄せる。
同社は単一農園・単一品種のコーヒー豆3種(1種類100グラム)を毎月定額(2500円)で届ける会員制サービス「ABCコーヒークラブ」を2014年に開始。コーヒー豆の銘柄選定は国内のロースター(焙煎家)たちによるスペシャリティコーヒーで、銘柄も月替わり。ネット上での口コミで広がり、会員は500人を突破した。
今回開いたカフェ「ALPHA BETA COFFEE CLUB(アルファベータコーヒークラブ)」には、同CEOとプロダクトマネージャー兼デザイナーのアルヴィン・チャンさんが経験した米西海岸のカフェ文化を盛り込んだ。提供する銘柄は通販と同じ月替わりの3種だが、ハンドドリップ、エスプレッソに加え、水出しコーヒーを窒素ガスで泡立てるニトロ・コールド・ブリューなど、さまざまな飲み方を提案。軽食やビールのメニューにも西海岸のカフェスタイルを参考にした。同地域で主流のサブスクリプション(会員制)を導入。会員になれば月額7500円でコーヒー飲み放題となるのも特徴だ。
大塚CEOはハワイ出身の日系4世。米グーグルでアジア太平洋地域のデジタルマーケティング責任者を務めた。チャン氏はサンフランシスコ発祥のフードデリバリーサービス「Zestly(ゼスティー)」の創業者だ。大塚CEOは「コーヒー文化はアナログ感が強い分、ITを導入して数値化できる部分もあり、おもしろい」と指摘する。たとえば、ドリップでの湯を入れるタイミングや抽出時間などだ。同店では抽出したコーヒーを専用機器で計測し、コーヒー豆の挽き具合、粉の量、湯の温度と抽出時の湯を注ぐタイミングで変化する計測数値を確認、「おいしい」と感じる手順を適正化する。独自開発の会員カードには注文履歴が記録できる。将来はこうしたデータを生かし、店舗会員に対する“自分好みのコーヒー”提案や、通販会員への銘柄に適した同社独自の抽出手順の情報提供を行いたいという。
国内では、客の目の前でドリップする「サードウェーブコーヒー」が米国から上陸後、広がっている。焙煎機を販売する大手家電メーカーが生豆の定期販売を計画するなど、こだわりを持つ消費者の増加が後押ししているとみられている。同CEOは「スタートアップだからこそ持てるスピードで改善しながら経営することで、より良いサービスを顧客に提供したい」としており、東東京エリアで2店舗目の年内開業を目指す方針だ。
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【会社概要】ABCコーヒー
▽本社=東京都渋谷区渋谷1-20-28
▽設立=2014年10月
▽資本金=100万円
▽従業員=2人
▽事業内容=会員制のコーヒー豆通信販売、飲食店経営
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