スーパーで缶ビール値上がり 安売り規制強化で奨励金抑制

 
店頭に並ぶまとめ売りの缶ビール

 スーパーでまとめ売りされる缶ビールの一部が値上がりしている。6月に国税庁が「安売り規制」を強化するのに伴い、メーカーや卸売会社がスーパーに支払う販売奨励金(リベート)を抑制し、値引きの原資が減ったためだ。政府が規制を強める真意は小さな酒屋の保護にあるが、家計には負担となりそうだ。

 データ分析会社「カスタマー・コミュニケーションズ」(東京都港区)が全国のスーパーで売られている350ミリリットル6本セットについて調べたところ、4月の店頭平均価格はアサヒビールの「スーパードライ」が1031円、キリンビールの「一番搾り」が1033円と、昨年12月と比べてそれぞれ30円ほど上昇していた。

 スーパーは缶ビールを集客のために安売りしてきた経緯があり、メーカー側も大量に販売する店にリベートで報いてきた。その陰で小さな酒屋が廃業に追い込まれているのを問題視した国税庁は、6月施行の改正酒類業組合法などを根拠に過度の安売りを厳しく取り締まる方針だ。

 アサヒは法改正の前からリベートに関する見直しを進めている。キリンは1月に社内ガイドラインを変更、他の大手メーカーも追随するとみられる。節約志向を強める消費者は値上げしても買ってくれるのか、スーパーにとって悩ましい夏となる。