日立、乳がん検診新技術 超音波で簡単、痛みもなく
日立製作所が開発した乳がん検査装置の模型
日立製作所は24日、超音波により、痛みを伴わず簡単に乳がん検査ができる技術を開発したと発表した。イヌを使った実験で、直径5ミリの小さい腫瘍を検出するのにこのほど成功した。今後は北海道大学病院と人間の腫瘍を用いた研究を進め、2020年ごろの実用化を目指す。
検査は台上でうつぶせに寝てもらい、水で満たされた容器に乳房を入れた状態で行う。容器を囲むようにリング状の装置を設置し、上下に動かしつつ360度の方向から乳房に向けて超音波を照射。得られた画像を処理すれば、腫瘍の粗さや硬さを把握できる。スキャンにかかる時間は1分程度と短く、悪性の腫瘍ほど、表面が粗くなる傾向があるという。
乳がん検査で一般的に使われているマンモグラフィー(乳房X線検査)は、50代未満の比較的若い患者の腫瘍を検出するのが難しいうえ、微量のX線被爆や乳房の圧迫による痛みを伴うことから、超音波診断装置(エコー)を組み合わせることがある。ただ、超音波エコーは検査者の技術によって精度に差がつきやすく、悪性か良性かの判別が難しい。今回の技術はこうした従来手法の問題点を解消し、「どの年齢の人が検査しても効果が変わらない」(川畑健一研究開発グループ主任研究員)という。
乳がんは世界の女性が罹患(りかん)するがんで最も多く、死亡者数も1位を占める。また、日本では若年層の割合が高まっており、02年と12年を比べると、40代の患者数は2倍に増えているという。今回の技術が実用化されれば、早期発見の可能性が大きく広がりそうだ。
関連記事