アート・スポーツ 力量見誤り店舗販売にこだわり破綻

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 アート・スポーツは5月9日、東京地裁から破産開始の決定を受けた。同社はスポーツ用品などを扱う「アート・スポーツ」、アウトドア関連商品に特化した「ODBOX」を経営。都内を中心にピーク時は15店舗を展開し、1992年2月期の売上高は65億9047万円だった。

 2007年に開催された東京マラソンをきっかけとするマラソンブームを契機に、ランニングスポーツに特化した日比谷店、池袋店を相次いで開設。池袋店は当初、赤字が続いたが、日比谷店は「皇居ランナー」の急増で順調に売り上げを伸ばした。

 アート・スポーツの売上高は07年2月期の32億2713万円から、09年2月期には38億8150万円と増加。10年3月には銀行から資金を調達して「アート・スポーツ本店」を移転、跡地に「ANNEX店」を開設する大幅なリニューアルも実施した。しかし、既存店の売上高は10年2月期で38億6216万円と低迷し、3225万円の赤字を計上。資金繰りが急速に悪化し、10年12月、金融機関に借入金の返済条件変更を要請して5カ年の事業計画を策定した。

 11年3月に不採算店舗の池袋店を閉鎖するなど収支改善を図り、13年2月期には1442万円の最終利益を計上し3年連続の赤字から抜け出した。

 だが、通販やメーカーの直営店舗出店などで再び苦境に陥り、13年10月にはスキーや登山グッズ専門のICI石井スポーツと業務提携し、支援を受けることになった。支援内容は出向社員の受け入れ、管理体制の見直しやICI石井スポーツの店舗の一角に専門コーナーを開設する営業強化策などだった。

 ICI石井スポーツからはさらに資金支援も受けたが、なかなか効果が出せない中、中核店舗の渋谷店が、大規模な市街地再開発で18年10月末までの退去を迫られ、さらに追い打ちをかけるように15年9月には上野本店近くにアウトドアメーカーが直営店を出店した。

 売り上げ減少に歯止めがかからず、一部店舗の賃料と社会保険料の支払いを滞納する状態となり、18年2月に支払期限を迎えるICI石井スポーツ(新ICI、16年10月に旧ICI石井スポーツを吸収合併)からの借入金1億7200万円の返済見通しも立たなくなっていた。

 このため、新ICIは「新会社を立ち上げ、上野本店の事業を譲り受ける。転籍を希望する従業員は雇用する」と提案。アート・スポーツ経営陣は5月8日に新ICIが設立した新会社と事業譲渡契約を締結、東京地裁に破産を申請し50年の歴史に幕を下ろした。

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【会社概要】アート・スポーツ

 ▽本社=東京都渋谷区

 ▽設立=1969年4月

 ▽資本金=5000万円

 ▽負債額=15億8883万円

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 〈チェックポイント〉

 小売業界は個人消費が鈍化するなか、ネット通販やメーカー直販、量販店など競合が激しい。店舗販売にこだわったアート・スポーツの方針は、強い集客力と安定した固定客が前提だった。だが、すでにそれは過信にすぎなかった。会社の力量を見誤った経営判断で、50年の業歴に幕を下ろした。

 知名度は高くても、消費者は「良い品」「安い品」、求めるものがそれぞれ異なる。旧態依然の経営感覚で生き残ることは難しい時代だ。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)