KDDI ライフデザイン事業の発信強化
広報エキスパート□KDDI渉外・広報本部広報部長 鈴木吾朗氏
--目指す「ライフデザイン企業」とは
国内はスマートフォン市場も飽和状態、格安スマホといわれるMVNO事業者の台頭などから厳しい環境に置かれています。こうした中、今後進むべき方向として、「通信」を通じてお客さまの生活、ビジネス、コミュニケーションがより豊かになるようさまざまな提案を行っていく「ライフデザイン企業」を目指していくことを昨年4月に宣言しました。
--具体的には
auの約3000万人のお客さまや全国約2500のauショップを基盤に、通信サービスだけでなく食品・日用品の販売、生命保険・損害保険・住宅ローンなどの金融商品、電気サービスや決済などの領域でサービスを提案していきます。auの電気サービス「auでんき」は、スマホや携帯電話と合わせてご利用いただくことで、プリペイドカードへキャッシュバックする「auでんきセット割」を提供しています。
--「au自転車向け保険Bycle(バイクル)」も人気です
自転車で転倒してケガをした、自転車で歩行者に接触し相手にケガをさせて高額な賠償命令が出たというニュースをよく耳にします。当社の自転車保険は、保険料月々370円から。スマホやパソコンからどこでも24時間申し込みができます。
--広報の在り方も変わりました
お客さまに、「ライフデザイン企業」として受け入れていただくため、「あたらしい自由。au」のブランドメッセージとライフデザイン事業に関する情報発信を強化していきます。まず、“入口広報変革”。事業部と連携したPRを行っていきます。2つ目がデジタル変革。お客さまのニュースの消費の仕方が変わってきている中、20代、30代のお客さまには、例えばキュレーションサイトへの展開に力を入れていきます。3つ目が分析変革。これまでは、多くの情報を発信し、記事として掲載されることに注力してきましたが、これからは、よりお客さまから共感を得られる「伝わる広報」ができるよう広報のPDCA(計画、実行、評価、改善)に力を入れていきたい。4つ目が全社意識変革。インナーコミュニケーションを強化し、ライフデザイン企業への社員意識改革を牽引(けんいん)していきます。
--広報体制は
広報部は、報道(10人)、企画(7人)、メディア開発(10人)の3グループから成り、メンバーは総勢28人。これまでは、通信担当記者を対象にスマートフォンを中心とした携帯電話に関する情報発信が約7割を占めていました。今は金融やエネルギー、物販の担当記者や、その分野のウェブメディアや趣味趣向を追求した雑誌など発信先も情報内容も幅広くなりました。今後は地方での情報発信にも積極的に取り組んでいきたいと思います。
--日々心掛けていることは
「古くて新しい広報」の実践です。お客さまのニュースの消費スタイルの変化に合わせた広報活動を実践すること、リスク広報などの古くからある広報としての重要業務をやりきることだと思っています。IT技術を駆使した戦略的な情報発信と、泥臭いメンタリティーを大切にしていきたいですね。部員には「広報は一人では仕事ができない」「広報は社会との窓」を忘れないよう言っています。(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子)
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【プロフィル】鈴木吾朗
すずき・ごろう 1994年明大法卒、KDD(現KDDI)入社。大阪支社、KDDIパリ、法人営業部、au商品企画本部、プロダクト企画本部を経て2014年渉外・広報本部広報部報道グループリーダー。16年から現職。
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